足利の画家、長島喜一氏の『足利スケッチ散策』絵はがきセット(12枚)に登場する足利の名所旧跡を訪ねます。
長島喜一(ながしま きいち)氏は、市内の名所・旧跡を多くの水彩画として残し、2017年、92歳で逝去されました。
筆者は長島家と、たいへん深い交流があり、喜一氏との想い出も数多く心に残っています。
そこで、喜一氏の足跡を中心に辿りながら、新たに市内の人気観光スポットも加えながら
御案内いたします。
本稿を最後まで御覧いただき、足利市の歴史や文化の一端にふれていただくことで、皆様の散策の一助となれば幸いです。
【足利スケッチ散策:絵はがきになる名所・旧跡の旅】
《 水彩画:渡良瀬橋の夕日 》
『渡良瀬橋の夕日』
足利市中心部を西から東に流れる渡良瀬川。1934年に建設された鉄橋「渡良瀬橋」。
当時の市民は、「鉄橋」と呼んでいた。
森高千里さんの歌『渡良瀬橋』の曲名になった橋で、夕日を背にした橋のシルエットと川面に映る夕日が美しい。
長島喜一 画
* 絵はがき集3部作『足利スケッチ散策』より(足利商工会議所発行)
*「渡良瀬橋ブログ」内の画像として、掲載許可承認済み(2021年3月8日)
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企画・制作:クリエイティブD
【足利スケッチ散策:足跡を辿る】
『足利スケッチ散策』(企画・制作:クリエイティブD)12枚の絵はがきを手に、画伯の足跡の一部を辿りました。
*『足利スケッチ散策』は、絵はがき集3部作の内の一部で、12枚の水彩絵はがきがセットになっています。
《 渡良瀬橋の夕日 》
渡良瀬橋の夕日
渡良瀬橋は、足利市内を流れる渡良瀬川に架かる12の橋の一つです。(岩井橋は、分水路の橋)
渡良瀬橋は、明治35年(1902)に、初めて木製のアーチ橋として、左岸の通四丁目と右岸の田中町を結びました。
夕日のきれいな橋として描かれた、歌手 森高千里さんの【渡良瀬橋】によって、全国に名をとどろかせました。
栃木県は、有名になった渡良瀬橋のさらなるイメージアップとして、塗装工事をはじめ、ライトアップを行っています。
渡良瀬川に架かる橋は、
「渡良瀬橋」と「渡良瀬川」に架かる12の橋を御覧ください。
《 行道山浄因寺 》
清心亭は、栃木の景勝百選に選ばれている行道山浄因寺にあります。
行道山は、今から約1,200年前の和銅年間に行基上人により開かれたと伝えられています。
また、山頂に近い「奥に院」には、寝釈迦(石仏)を中心に、多くの石仏(49院)や石塔が周囲をとりまいています。
奥の院は、行基上人が分骨入定された聖地になっています。
「行堂山浄因寺」周辺の地図は、こちらです。
行道山浄因寺の詳細は、
足利行道山:浄因寺の清心亭と寝釈迦
「鬼滅の刃」の割石?に連なる修験者の「行道山」を御覧ください。
《 名草厳島神社・名草巨石群 》
弘仁年間 弘法大師空海によって勘請されたと伝えられています。
弁慶の手割石(炭治郎が割った石?)
厳島神社社殿の全面にあります。
高さ約約2m、幅約3m程の巨石です。
名草巨石群は、約10万年前に火山活動によって、噴出したマグマが冷え固まり、直径1.5kmほどの花崗岩体が形成されました。
巨石群には、「御供石」、「太鼓石」、「石割楓」など、名称が付けられた巨石が点在しています。
名草厳島神社・名草巨石群については、
<聖地巡礼>「炭治郎が切った岩?」鬼滅の刃と栃木県足利市を御覧ください。
《 梅の名所:西渓園(せいけいえん)》
織姫山の西側斜面にある梅林です。
昭和39年ごろに、梅の木を植樹したのが始まりです。
約3haの敷地に、1200本の白梅・紅梅が咲き誇ります。
両崖山(りょうがいさん)から見る梅林の光景は格別で、多くのハイカーを感動させています。
西渓園は、織姫山の西斜面に位置しているため、足利県立自然公園ハイキングコースからエントリーできます。
2021年は、両崖山の山火事のため、立ち入ることができませんでした。
西渓園については、
足利「西渓園(せいけいえん)」の梅林を見に行こう!を御覧ください。
《 織姫神社と渡良瀬橋 》
渡良瀬橋の北に位置する織姫山の中腹に、織物の繁栄を願い、建立された朱色の社殿。
七つの神徳を象徴する「七色の鳥居」を潜ると、良き縁が結ばれると言われています。
「渡良瀬橋を望む」
織姫山から市の中心を流れる渡良瀬川を望む。
南方を見下ろすと、浅間山の裾に向かって「渡良瀬橋」がかかっています。
「七色の鳥居」は、
渡良瀬橋から織姫神社そして両崖山へのサイクリングコースを御覧ください。
「織姫神社」の夜景は、
足利灯り物語:渡良瀬橋・織姫神社・鑁阿寺・足利学校へ」
恋人聖地「織姫神社」は、
「足利織姫神社」大切な人と行きたい!<縁結び>を御覧ください。
「足利織姫神社」周辺の地図は、こちらです。
《 茶室 物外軒(ぶつがいけん)》
「物外軒」は、江戸時代から回漕(かいそう)問屋を営む「萬屋(よろずや)」の三代目主人でした。
長 四郎三(ちょう しろうぞう)によって、明治初頭、渡良瀬川畔の猿田河岸(やえんだがし)、現在の猿田町(さるたちょう)の長 四郎三邸内に建てられました。
[長四郎三]
江戸にも名をとどろかせた豪商で、漢詩・和歌・俳句・書画・骨董の収集にも通ずる教養人として伝えられています。
長四郎三は、この茶室に自らの雅号「物外」に因み、「物外軒」と名付けました。
物外軒:変遷(へんせん)
物外軒は、明治34年に足利の柳田家が譲り受け、現在の場所に移築されました。
さらに、昭和48年に、当時の所有者だった鈴木栄太郎氏から、庭園とともに足利市に
寄付されました。
延段:(のべだん)は、内露地の飛び石に通ずる通路です。
飛び石とは異なり、石と石の隙間がほとんど無いため、歩幅を気にせず歩くことができます。
茶室南側の内露地にある、蓮華寺型灯籠(れんげじがたとうろう)です。
蓮華寺型灯籠の特徴は、とがった塔に、屋根瓦の模様が付けられています。
どことなく、おしゃれなデザインですね。
織部角形灯籠(おりべかくがたとうろう)は、古田織部が好んだとされ、茶庭などに用いられます。
茶室の躙り口(にじりぐち)の蹲踞の水鉢は、江戸城富士見亭の礎石を譲り受けたもので、
京都の名石・鞍馬石(くらまいし)です。
蹲踞の海は、水琴窟(すいきんくつ)が作られており、今でも、わずかな音色を聴くことができます。
礎石:建物の柱を受ける土台石。
単に、礎(いしずえ)とも。
鞍馬石:(くらまいし)京都「鞍馬山」の石。見た目は白く、磁硫鉄鉱が含まれているため、時の経過とともに、茶色く変化し「わびさびの石」として好まれています。
茶室の北側にある泰平型灯籠(たいへいがたとうろう)です。
【物外軒居室】
茶室の東隣には、居室があります。
この居室は、入場自由で、ゆったりとした時間を過ごすことができます。
ゆっくりくつろげる部屋
居室から見る庭園も、たいへん趣があります。
どことなく、懐かしさを感じさせてくれる居室です。
まるで、昔にタイムスリップしたような・・・。
足利市指定文化財「物外軒」と、國登録記念物「庭園」は、
足利市文化財公開!茶室「物外軒」と庭園に行こう!を御覧ください。
《 県営 松田川ダム 》
「松田川ダム」
県営多目的ダムで、頂上部には、自由越流式である非常用洪水吐が4門装備されています。
また、選択式取水設備を備え、河川維持放流、上下水道用水などを補給しています。
ダム上流には、キャンプサイト、下流は公園になっており、バーベキューサイトも設けられています。
「松田川ダム」周辺の地図は、こちらです。
この頃、コロナ渦のため、足利市の「ウォーターパーク」も休園されていました。
自然いっぱいの松田川ダムの下では、たくさんの親子が、夏休みに一時を楽しんでいました。
《 あしかがフラワーパーク 》
「花と光の楽園」と称される「あしかがフラワーパーク」は、四季折々の花と、イルミネーションが楽しめます。
600畳敷きの藤棚
春は特に、樹齢160年におよぶ大藤が有名です。
また、長さ80mもの白藤トンネルやきばな藤のトンネルなど、350本を超える藤が咲き誇ります。
10月中旬~2月中旬にかけては、日本三大イルミネーションに認定されている「光の花の庭」も絶大な人気を集めています。
あしかがフラワーパークについては、
あしかがフラワーパークの見どころ【まとめ】を御覧ください。
を御覧ください。
《 栗田美術館 》
伊萬里・柿右衛門・鍋島を館蔵する世界に誇る陶磁美術館です。
フレディ・マーキュリーが1986年9月に参観した美術館です。
栗田美術館の特徴は、展示品を間近に鑑賞することができることです。
栗田美術館については、
栗田美術館・あしかがフラワーパーク:渋滞時のベスト散策uートを御覧ください。
《 草雲美術館 》
「草雲美術館」
幕末の画家、田崎草雲の居宅であった白石山房にある美術館。
栗田美術館は、足利公園の南側に位置し、早雲の作品や遺品が展示されています。
田崎草雲旧宅の庭園にある茶室
「田崎草雲旧宅について」
財団法人 足利市民文化財団 足利市教育委員会による案内です。
「草雲美術館」周辺の地図は、こちらです。
「草雲美術館」までの徒歩ルートは、
「渡良瀬橋」から行く「八雲神社」と「草雲美術館」への徒歩ルート
「草雲美術館」の詳細は、
栃木県足利市の美術館「草雲美術館」へ行こう!
足利市の美術館5選:足利市立美術館、栗田美術館など【まとめ】を御覧ください。
《八雲神社》
田崎草雲美術館の隣に、「八雲神社」があります。
長島喜一氏の「足利スケッチ散策」では、紹介されていませんが、「渡良瀬橋ブログ」としては、素通りできませんので、御紹介します。
「八雲神社」鳥居
「八雲神社」由緒
ありました! 「渡良瀬橋」と森高千里さんについての記述が・・・。
「八雲神社社殿」
八雲神社 牛頭(こず)天皇佐野唐沢山城主、藤原村雄(秀郷の父)が
夢のお告げにより、貞観年間(859-876年)に創建したと伝えられています。
「八雲神社」周辺の地図は、こちらです。
渡良瀬橋の付近には、5つの八雲神社があります。
足利「長尾弁財天」「出世稲荷神社」「逆藤天満宮」の御案内を御覧ください。
《 足利学校 》
「足利学校」全景
足利学校「入徳門」
筆者は、この門が好きです。
一番最初にくぐる門ですが、すばらしい名前の門だからです。
足利学校「学校門」
「日本最古の総合大学」と言われ、儒教を中心として、易学、天文学、兵学、医学などが学ばれていました。
天文年間(1532~1554年)には、全国から3,000人もの学徒が集まり、フランシスコ・ザビエルによって、海外にも紹介されていました。
「足利学校」周辺の地図は、こちらです。
「足利学校」の詳細は、下の記事を御参照ください。
足利市駅から徒歩や車椅子で行く「太平記館」と「足利学校」ルート
足利学校と「松竹梅の伝説:現代版かなふり松の回答!」を御紹介
正一位霊験稲荷社(足利学校稲荷社):日本最古の学校で合格祈願
《 鑁阿寺 》
鑁阿寺(ばんなじ)「太鼓橋と桜門」
鑁阿寺は、源姓足利氏二代目の義兼が、邸内に持仏堂を建て守護しました。
本尊の大日如来を祀ったのが始まりです。
故に、人々から、「大日様」として、親しまれています。
「鑁阿寺本堂」(国宝)
鎌倉時代の武家屋敷(平城)をなお現在に伝えています。
本堂は、鎌倉時代の禅宗様建築を伝え、国宝に指定されています。(平成25年指定)
鑁阿寺「経堂」(一切経堂)
応永14年(1407年)鎌倉公方足利義兼が再建したもので、昭和59年、国重要文化財に指定されました。
経堂内には、足利尊氏から始まる足利歴代将軍の座像が安置されています。
鑁阿寺「多宝塔」(県指定文化財)
足利義兼の創建と伝えられ、江戸時代の元禄5年(1692年)徳川5大将軍の母、桂昌院尼が再建されました。
そして、私の好きな「鐘楼」を紹介します。
(これも、長島氏の絵はがきセットにはなかったのですが・・・。)
鑁阿寺「鐘楼」
建久7年(1196年)、本堂に次いで創建された鎌倉時代の禅宗様式の代表的なものです。
「鑁阿寺」周辺の地図は、こちらです。
鑁阿寺についての詳細は、
国宝「鑁阿寺」:地元足利からご紹介「歴史と伝説の散歩道」を御覧ください。
鑁阿寺のすぐ南側には、小さな公園があります。
公園には、足利尊氏公の銅像と、筆者の娘が幼かった頃に、撮影した水飲み場があります。
今では、その水飲み場も、立派になって、鑁阿寺の「太鼓橋」をイメージした柵がついていました。
「足利尊氏公」
鑁阿寺前の公園にある銅像。
進化した「水飲み場」
いつの間にか、太鼓橋をイメージに。
「松村記念館」
大門通りにある「松村記念館」でした。
残念ながら、閉館となりました。
松村記念館の西隣に、八雲神社があります。
足利市内の八雲神社の詳細は、
『渡良瀬橋』の歌と5つの「八雲神社」巡り
足利「長尾弁財天」「出世稲荷神社」「逆藤天満宮」の御案内を御覧ください。
そして、「松村記念館」の東隣には、ケーキが美味しい喫茶店「八蔵」があります。
「鑁阿寺」と「足利学校」は、すぐ隣にあります。
みなさんも、絵はがき集を片手に、足利の街を散策してみてはいかがでしょうか。
きっと、新しい出逢いと発見が、あなたを待っていることでしょう。
絵葉書集『足利スケッチ散策』のお求めは、【プロフィール】を御覧ください。
【足利スケッチ散策:長島喜一氏と私】
もう、20年余の年月がたつでしょうか。
毎年、春と夏になると、小俣町の釣り堀の沢で総勢、数十人が集まる「バーベキュー」が
行われてきました。
そこには、いつも喜一氏の姿がありました。
今でも、なつかしく思い出されます。
このほど、長島喜一氏の遺作展が足利市民会館で開かれました。(2021.1.9~10)
私たちのリーダーである長男 稔(みのる)さん夫妻は、9日の命日に合わせて、この展示会を企画したそうです。
そして、彼は。
「父が心を動かされて描いた風景を多くの人と共有したい」下野新聞 県南・両毛版 2021年1月6日(水)付け より
と、話しています。
ここに、長島喜一氏の足跡の一部を辿り、謹んで、おしのび申し上げます。
「渡良瀬橋ブログ」管理者
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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