たかがネギ、されどネギ・・・。
ネギ類は、食卓に欠かせない野菜のひとつですね。
さて、おなじみのネギ、手軽に栽培できますが、
実は、ちょっとした栽培のポイントがあるんです。
「どうしても、根元が曲ったネギになってしまう!」など・・・。
そんなお悩みを解消しながら、ネギの育て方についてお伝えします。
子どもたちといっしょに、38年間、自然観察や
農園芸などの環境教育活動に携わってきました。
本稿では農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用し
基本的な「野菜の育て方」について解説いたします。
【クイズ】 ネギは何科の野菜でしょう?
● キク科
● アブラナ科
● ユリ科
● セリ科
* 正解は、最後のページを御覧ください。
目 次
【ネギ(子もち)を植えかえる目安】
<ネギ:春の植え替え>

子もちネギとは、「分けつネギ」の別名です。
一般のネギは、毎年種をまいて育てます。
子もちねぎは、春先に分けつしたネギを
1本ずつ植え替えると、秋には数本のネギに育ちます。
ネギの植えかえは、4月で・・・、と、思いきや、
なんと、よく見ると、
株分けを待っているかのように、
葉を方々に「ツン、ツン」伸ばし始めました。
1本ずつ株分けし、植えかえてあげましょう。

「あら、たいへん!」
こちらのネギは、すぐに植えかえないといけません。
親ネギに付いた子ネギが、窒息?しかけています。
そういえば、先日、ホームセンターに行ったら、
園芸コーナーで、ネギの苗がたくさん、
販売されていました。
「ネギ植えの時期ですよー!」と、
言わんばかりでした。
<ネギ:夏の植え替え>

初夏までは、順調に育っていたネギですが、
キュウリとアスパラガスの成長にともない
日当たりと、風通しが悪くなってしまいました。
上の写真のように、ところどころネギが枯れて
なくなってきています。
そして、ネギは真夏に生長を休みます。
このまま放置してしまうと、
全部枯れてしまいかねませんので、
日当たりのいい場所に植え替えました。
元気なネギも、7月~8月に植え替えをすると、
秋の収穫時に、とても柔らかいネギに仕上がります。
曲がったネギにならないようにするには、
土寄せの際、かべ側の土から寄せましょう。
* ネギの種まきについては、
家庭菜園【春野菜:13種】のプチ紹介
1 【春野菜の種をまく準備をしよう】
を御覧ください。
【ネギを植える場所の準備】
ネギを植え付けるために、クワで植えみぞをつくる。
ネギ(購入苗も同じ)を植えかえ、定植するために、
植える場所を整備します。
ネギは、アルカリ性土壌を好みます。
前もって石灰を施していなければ、
植える前に、霜が降ったくらいに、
石灰を薄くまきしょう。
(植え付け2週間前:1m2あたり、苦土石灰100g、
有機化成肥料100gの元肥を施しておきます)
園芸用土等の資料は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
を御覧ください。
そして、耕した後、上の写真のように、
クワで深さ12cmほどの、植えみぞを掘ります。
畝幅は、60~75cmとします。
写真では、向かって右側に、
土が高く寄せられていますね。
本記事では、土を高くした側を
「かべ」と、呼ぶことにします。
【ネギ苗の調整】

(市販のネギ苗を購入された方は、ここを
スキップして、【ネギ苗の定植】へどうぞ)
5月頃の「子もちネギ」は、数本の株になっており、
枯れ葉で覆われています。
そのために、通気性が悪く、分けつした子ネギが、
湿気によって、とろけかけています。
(そのため、根も減少しています)
場合によっては、真っ黒になるほど、
アブラムシが付いてしまうこともあります。
できれば、遅霜の心配がなくなった3月~4月に、
株分け、移植を済ませておくようにしましょう)
そこで、枯れ葉を取り除きながら、
1本ずつ、株分けをします。
この時、分けつ途中のネギを無理に分けようとすると、
根が片側にのみ残り、もう一方のネギは、
根が全く残らないことがあるので注意します。
【ネギ苗の定植】

株分けしたネギを1本ずつ、
かべにしっかり付けて、
根元に土を寄せ、軽く押さえます。
植える間隔は、3cm間隔くらいでよいでしょう。
(植え場所とネギ苗の数により、加減します)
また、小さなネギは、
3~6本を16cm間隔ほどで定植します。
<ネギ:市販苗の定植>

これから、いろいろなネギ苗が出回ります。
この近辺だと、下仁田ネギや深谷ネギが有名です。
定植したネギ
【ネギの種まき】

ワケギやアサツキと同じく、小ぶりの品種も
植えておくと、キッチンで重宝されます。
本稿では、「小ねぎ」を御紹介します。
<小ねぎの種>

☆ つくりやすく まき時期も広い ☆
[品種名] :香りがひきたつ 緑秀 小ねぎ
美咲© シリーズ 923800
サカタ交配
[科・属名]:ネギ科 ネギ属
[原産地] :中国西部
[生産地] :チリ
特徴
生育が早く、葉折れも少なく、しかも葉先の
枯れが非常に少ない柔らかくておいしいネギです。耐暑性、耐寒性もあり、特に低温期の伸長性に
優れるため、秋~春先に能力を発揮します。
<小ねぎの特性>
まき時:暖かい地域 | 3~9月 |
---|---|
:寒い地域 | 4~5月 |
収穫の目安 | 小ねぎで利用する場合は、 草丈30~40cmになったら 抜きとり収穫します。 刈取りの場合は、根本4~5 cmを残すことで、3~4回 収穫が可能です。 |
数量 | 15ml |
発芽率 | 80%以上 |
発芽までの日数 | 5~8日 |
発芽適温(地温) | 20℃前後 |
生育温度 | 20℃前後 |
<小ねぎの箱まき・栽培管理>

<子ネギ:種まき>
育苗箱に培養土を入れ、深さ約1cm、
間隔10cmで作った溝に、スジまきし、
土をかけ軽く押さえます。
本場1~2枚で間引き、株間を3cmにします。
草丈、15~20cm程度の苗に育てます。
<子ネギ:栽培管理>
引き抜いた苗を、条間25cm、株間15cmで、
1か所に3~4株まとめて、倒れない程度の深さに
植えつけます。
追肥は、植えつけ1か月後に行い、同時に
土寄せを行います。
【ネギの定植後の管理】
根元だけ、土寄せされたネギ

定植したネギの根元に、
ワラを敷いてやると最適です。
しかし、最近の農家は、ワラをコンバインで、
粉砕処理することが多く、なかなか入手できません。
少量なら、ホームセンターで
販売されていますので、利用すると便利です。
(モミガラ、蕎麦ガラも可)

苗を定植した後、根本にソバガラをまきました。
根本にかけるワラなどの資材がない場合は、
根本の乾燥の具合をみて、極度に乾燥していたら、
ジョウロで水やりします。
(ネギは、乾燥に強い野菜ですが、活着するまで
様子をみてやりましょう)

定植したネギは、活着(値付く)と、
だんだん葉が、かべから離れるように起き上がってきます。
ここで大切なことは、上述したポイントのように、
土寄せのしかたに注意しましょう。
◎ 1回目の土寄せは、かべ側の土を寄せる。
◎ 2回目の土寄せは、根元に土を寄せる。
◎ 3回目の土寄せは、再びかべ側の土を寄せる。
◎ 葉の分岐しているところ以上に、土をかけない。
<ネギ:土寄せ>

土寄せが必要なタイミングです。上の写真で言うと、
右側の「かべ」の方から、1回目の土寄せをします。


葉側の土を板などを使って寄せていきます。

ネギの根は、すっかり活着していますので、
押された土といっしょに、ネギ全体が直立します。
板をずらしながら、根本側に向かって土を寄せていきます。

根本側から見ると、ネギが直立していますね。
これでおしまいです。
前回でもお伝えしましたが、
ネギは土を嫌うといわれていますので、
一度に両側から土を寄せてはいけません。

土寄せによって直立させたネギ
2回目の土寄せは、
1回目と反対側の土を寄せていきます。
ネギはすでに直立していますから、
根元に2回目の土をかけても、
曲がったネギにはならないのです。

また、土寄せで注意したいことは、
成長点(白い茎と緑色の葉の堺)を
土に埋めてはいけません。
成長点に土がかかると成長が止まって、
やがて枯れてしまうからでしたね。
1回目の土寄せをする際、どうしても、
植えみぞ側に土を寄せたくなりますよね。
それが人情です。
しかし、この場合、ネギが完全に直立しない状態で、
根本に土が寄せられてしまうため、土の重みで、
白い根元の部分が曲がってしまうのです。

定植直後は、貧弱だったネギも5月になると、
リンとした株立ちになってきます。
この頃、葉が黄緑色になっていたら追肥を行い、
株元に土寄せを行います。
<ネギ:定植後のトウ立ち>

春先、植え替えや定植したネギが活着して、
元気に育つころ、葉先にネギボウズ
(タネになる部分)が発生する株があります。
ネギボウズは放置してしまうと、タネを作るために、
栄養分の大半がネギボウズに集中し、
株自体の成長の妨げとなってしまいます。
見つけ次第、葉先のネギボウズを摘まみとり、
株の成長を促しましょう。
<ネギ:追肥>

夏に休眠するネギ
ネギは「土を嫌う」と言われるとおり、
根は酸素を必要とします。
したがって、極端な土寄せは厳禁で、
日をおいて、徐々に土を寄せていきます。
また、乾燥には比較的強い反面、過湿には弱く、
通風を良くしてやることが大切です。
追肥は、土寄せとともに行います。
● 1回目は、定植後に根が活着したころ。
● 2回目は、株元から10cm程度。
● 3回目で植え溝を埋めます。
さらに、最後の土寄せによって、
軟白部を完成させます。
この際、葉の緑色部と、
根元の白色部の堺の成長点まで埋めてしまうと、
枯れてしまうので注意します。
なお、葉の緑色が薄くなり、黄緑色になるのは、
肥料不足による反応です。
適度な追肥と、石灰の補充を行います。

土寄せと追肥によって、しっかりと成長しています。
夏季になると、成長が衰えますので、
今のうちに成長を促しておきましょう。
また、秋になると、再び成長が活発になってきます。

株元に生えた草は、根を深く伸しています。
また、茎が細く、横に複数伸びる草もあります。
いずれにしろ、ちから任せに除草してしまうと、
ネギが倒れたり、抜けてしまったりするので、
ネギの株元を片手で押さえながら、作業するようにします。
除草が終わったら、配合肥料などを施し、
かるく土寄せをすることで、
除草によって、不安定になった株元を安定させましょう。
肥料は、活着後から、有機化成肥料(888)などを
少量ずつ、パラパラと根元にまきます。
肥料が不足してくると、前述したように、
葉の色が、だんだんと黄ばんできます。
施肥は、ネギに限らず、一度に多く施すよりも、
同じ量でも、数回に分けて与えたほうが効果的です。

成長点(葉の分岐点)が埋まらないように注意しながら、
土寄せをしましょう。
○ 例えば100gの肥料を50gずつ、2回まくよりも、
まく時期をずらし、25gずつ、4回まく方が効果的!
<ネギ:トウ立ちに注意>
ネギによっては、トウ立ちしやすい品種や、
トウ立ちする時期(早晩)が異なります。
いずれにしても、葉の先に白い「つぼみ:ネギ坊主」が
出てきたら、早めに、摘み取るようにしましょう。
<ネギ:今後の作業と収穫>
ネギの成長具合を見て、土寄せを繰り返し、
だんだんと、ネギの軟白部が長くなるように育てます。
<ネギの植え替え>

ネギは植え替えしないで、そのまま育てることができます。
しかし、7月に植え替えると、植え替えなかったネギと比べ、
秋には肉質が柔らかくなります。
また、分けつしたネギを株分けすることで、通風を促し
アブラムシなどに対する忌避効果も得られます。
大きめの子持ちネギ(分けつネギ)は、すでに分けつして
一株に2本のネギがついています。
2本に分けつしたネギを手で丁寧に分けましょう。
● 株分けは、外皮を根本までしっかりとはがしてから分けないと
根が片方のネギにだけ残り、もう1本のネギには
全く根が残らないことがあります。
● 分けつが不十分な株は、無理に株分けしないで、
そのまま植え替えましょう。
夏の猛暑期は、成長がいったん休止しますが、
9月になり気温が低下し始めると、再び元気になってきます。
適宜、引き抜いて利用しましょう。
しかし、市販のネギと異なり、
すぐに黄ばんできますので、
必要な分だけ引き抜くことをおすすめします。

充実したネギに育ちました。
ネギの株周りに、多くの草が生えてしまいました。
除草は、丁寧に手で行いたいところですが、
時間が無いときは土寄せをしながら、草の上から土をかけると、
除草を兼ねることができます。
今後、霜が降り始めると、だんだんと葉が傷んできます。
今のうちに、しっかり葉も利用します。
鍋の美味しい季節になりました。
自分で育てたネギを家族全員で味わいましょう。

霜に耐え、元気なネギですが、さすがに外葉も枯れ具合が
目立ってきました。
しかし、心配いりません。
このまま、必要に応じて収穫を続け、
春になって気温が上昇してきたら、
蒸れないように枯れ葉を取り除いてあげましょう。

そして、株分け、植え替えの準備をします。
子持ちネギの場合は、種まきの必要がなく年間を通じ、
こうした作業を繰り返します。

現在の子持ちネギは、30年以上も前にいただいたネギの
子孫たちです。
みなさんも、ぜひ栽培してみましょうね。
ネギは、どんどん増えていきますが、
当然のことですが、全部食べてしまってはいけませんよ。
ネギと他の野菜の相性については、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
⑷ <輪作栽培>(例)*野菜の相性
を御覧ください。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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