葉に毛がなく食感が良い、しかも小ぶりで冷蔵庫で保存しやすいミニハクサイ。
ミニハクサイの栽培方法について、リアルタイムで御紹介してまいります。
なお、お届けする本記事の充実を図るため、過去の栽培記録と、現在の栽培報告を織り交ぜて御紹介しています。
記事を御覧いただく際は、撮影日等の年月日を御参考にお読みいたたくことをお勧めします。
最新の写真等には、西暦を記載します。
昨年度(過去)の記録文につきましては、今年度の参考程度にお読みくださいね。
今年も、おいしいハクサイを御一緒に栽培しましょうね。
子どもたちといっしょに、38年間、自然観察や
農園芸などの環境教育活動に携わってきました。
本稿では農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用し基本的な「野菜の育て方」について解説いたします。
【クイズ-1】 ハクサイは次のどれに当てはまるでしょうか?
- 根菜類
- 果菜類
- 葉菜類
- 菌類
【クイズ-2】 日本がふるさとの野菜はどれでしょうか?
- サツマイモ
- オクラ
- ハクサイ
- ミツバ
* 正解は、最後のページを御覧ください。
目次
【ミニハクサイの基本情報】
<ミニハクサイ:品種の基本情報>
<ミニ白菜:サカタ交配>
ミニハクサイは、前述したとおり小ぶりのハクサイで、冷蔵庫に収納しやすく便利です。
スーパーなどのカット野菜と比べ、新鮮さを損うことがありません。
以前は、普通の大きさの品種を栽培していましたが、現在ではミニハクサイ一択です。
[品種名] :サカタ交配 ミニ白菜 「暑さに強い」
毛がなく口当たりよしサラダでもおいしい
サカタのタネ 美咲シリーズ® 922623
[科・属名]:アブラナ科 アブラナ属
[原産地] :中国 生産地 :イタリア
特 徴
耐暑、耐雨性に非常にすぐれ、生理障害に強く、つくりやすい極早生品種。葉には、口当たりを悪くする毛がなく、葉肉が厚くて、肉質もやわらかくておいしい。
浅漬けや鍋ものはもちろん、サラダでも。
まき時:暖かい地域 | 4~10月 |
---|---|
:寒い地域 | 5~9月 |
収穫の目安 | 種まき後、約45日~65日(極早生) |
収穫部色 | 黄芯 |
数量 | 2.2ml |
発芽率 | 90%以上 |
採苗品数(間引き前) | 約250本 |
発芽までの日数 | 3~5日 |
発芽適温(地温) | 20~25℃ |
生育適温 | 20℃前後 |
<ミニ白菜:タネのタキイ>
[品種名] :タキイ交配 ® おてがるミニ白菜 「CRお黄にいり」
AHA07H
[生産地] :イタリア
球重600gの食べ切りサイズで収穫できる黄芯極早生種。
外葉は極立性でコンパクト。
ベト病、根こぶ病の耐病性があり、密植栽培が可能。
肉質は歯切れがよく、鍋料理や漬け物だけでなくサラダにも適する。
まき時:暖かい地域 | 8月上旬~9月上旬月 3月上中旬(温床育苗) |
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:寒い地域 | 7月 4月(温床育苗) |
収穫の目安 | 結球の頭を軽く押してみて、かたくしまってきたら収穫します。 |
収穫期間:暖かい地域 | 10月所婦旬~12月中旬 5月 |
:寒い地域 | 9月上旬~10月中旬 6月上旬~7月下旬 |
数量 | 0.9ml(150粒) |
発芽率 | 85%以上 |
発芽までの日数 | 3~5日 |
発芽適温(地温) | 20~25℃ |
生育適温 | 15~20℃ |
公式HP | https://www.takii.co.jp |
【ミニハクサイ:種まきの準備と種まき】
野菜の培養土
野菜の培養土、肥料等の詳細は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!を御覧ください。
種まきトレイに土を入れ、じゅうぶん水やりします。
そして、適当な間隔で「ばらまき」します。
セルトレイや、ポットを利用してもいいでしょう。
種をまき終えたら、種が隠れる程度に土をかけ、再び灌水します。
春まきの場合、小苗が低温に長くあたると、トウ立ちするため、温度管理び注意しましょう。
<ミニハクサイ:種まき後の管理>
種まきを終えたミニハクサイは、白の寒冷紗のついた苗床に入れ、ブロッコリーなどのトレイと一緒に管理します。
○ 夏季の灌水は、朝(午前10時時前まで)に行いましょう。
理由・・夕方に灌水すると、苗が徒長する原因になります。
注意・・葉に付いた水が直射日光にあたると、葉やけすることがあります。白の寒冷紗などで覆い、保護してやりましょう。
- 発芽して間もない苗は倒れやすいので、苗と苗の間に増し土すると、その後の発育が順調になります。
- 種が発芽した時や、植え替えした苗に活力剤を散布すると、生育が良くなります。
ミニハクサイの芽(8月30)
充分な日光を浴びて、順調に育っています。
本葉が出てきたら、ポットに移植します。
<日照不足が心配>
いい感じに育っています。
しかし、秋雨が長引いているので、日照不足が心配されます。
小さい苗は間引き、大きい苗は、どんどんポットに植えかえたいところです。
【ミニハクサイ:鉢あげ作業】
種まきの際に使用した培養土が、ホームセンターで販売されていませんでした。
ポットへの植えかえは、発芽した土と、同じ土を用いるのが原則です。
発芽した環境を保ちたいところですが、しかたありませんね。
苗箱から、苗を移植するときは?
- 鉢あげ作業の前、苗箱全体に、水をやります。
- 苗の根に土が付いてきて、植えいたみが軽減されます。
- 苗は少量ずつ、手ですくい上げるようにしてとりましょう。
- 双葉が無かったり、虫に食べられたりした苗は間引きます。
- 苗をポットに植える際、双葉が折れやすいので注意します。
- ポットに培養土を入れすぎて、双葉を埋めないようにしましょう。
ポットに移植したミニハクサイ
鉢あげ作業を終えた苗は、日陰で管理するか、寒冷紗で遮光します。
炎天下に置くと、活着前の苗は、しおれて枯れます。
水やりが必要になったら、朝の涼しい時間帯に行いましょう。
間引き苗は、根をつまみとり台所へ。
ミニハクサイの葉には、葉毛がありません。
サラダや味噌汁の具に最適です。
夏の気温が高いため、種まきを遅めにしたミニハクサイの苗です。
苗の生長に、ばらつきがありますが、定植する際に大きさを揃えて植えると、収穫しやすいでしょう。
日中の強い日差しを遮光することと、急激な乾燥を避けるため、白の寒冷紗をかけ、苗を保護してやりましょう。
また、コオロギなどによる食害も予防できます。(オルトランなどの農薬も効果的ですが、家庭菜園では、無農薬栽培を心がけると安心です!)
【ミニハクサイ:追肥作業】
まだ小さな苗なのですが、玉肥を2個ずつ入れてみました。
ハクサイは、「先行逃げ切り型」と言われているように、初期の生育を重視します。
元気で丈夫な株を早めにつくります。
【ミニハクサイ:苗床の管理】
苗床に、空のトレイを交互に置いておきます。
やがて、成長する苗同士の葉が重ならないよう、空きトレイに移します。
苗の生長とともに、苗同士の間隔を広げていくことがポイントです。
葉が少し、虫に食べられてしまいました。
木酢液で対処しましょう。
夕方の水やりは、苗が徒長しやすくなる欠点があります。
しかし、その反面、害虫を追い払う効果もあります。
様子をみて、夕方の水やりも実施してみましょう。(夜盗虫は、午後7時頃、活発に動き出します)
【ミニハクサイ:苗の定植】
本葉が5~6枚になったら定植します。
ミニハクサイは、葉毛がないためか、写真でもわかるように、虫による食害が多いです。
この程度の食害なら、木酢液を希釈して散布しておけば、問題ないでしょう。
せっかくの家庭菜園です、むやみに農薬は使用せず、自然由来の方法で対処します。
ウネ間60cm、株間25cmの位置に、植え穴を掘ります。(球根植えスコップを使うと便利です)
植え穴は、3号ポットの大きさになっています。(直径9cm)
また、アンカーに付けたタコ糸を張れば、苗を真っ直ぐに植えることができます。
ミニハクサイの苗をポットから出す前は、充分に水やりをしておきましょう。
ポット内に水を含ませることで、苗を抜き出す際、根鉢の崩れが防げます。
そして、定植する植え穴にも、たっぷり水を注ぎます。
植え穴への水によって、定植後の乾燥を防ぐことができしばらく、水やりの心配はありません。
<台風対策>
9月になると、台風の接近による暴風雨のため、苗が折れてしまうことが多々あります。
株元に土を寄せた後、寄せた土を両手でしっかり押さえ株元を安定させてやりましょう。
この頃のハクサイは、株元がたいへん不安定です。
農家用語ですが、できるだけ、「頭(かぶり)」を振らすことなく、ていねいにポットを外してあげましょう。
また、定植するときは、深植えにせず、植え穴に、苗を強く押し込まないように注意します。
株が安定してきました。
ハクサイは、「先攻逃げ切り型」の野菜でしたね。
これから、いっきに外葉を大きく育てることがポイントです。
あのパラボラアンテナをイメージして育てれば、しっかりとした結球ハクサイが収穫てきますよ。
● 種まきの適期よりも遅くなると、苗の定植時期も遅れます。
その結果、結球しないハクサイになってしまいます。
【ミニハクサイ:中耕・追肥・土寄せ】
土の表面がかたくなっていました。
ウネ間をかるく耕し、株周りに化成肥料を施します。
そして、ウネ間の土を株周りに、かけてあげましょう。
ウネ間の土を株周りにかけると、肥効生が高まり、苗の成長を一段と促進させることができるのです。
<土寄せの確認と堆肥>
前回では、<中耕・追肥・土寄せ>作業を行いました。
心配されることは、晩夏~初秋によくあることですが、秋雨前線による長雨と台風ですね。
現在も、日本に台風が接近しています。
皆さんがお住まいの地域は、いかがでしょうか。
ミニハクサイは、ブロッコリーなどと異なり、草丈が低いため、あまり心配しなくても大丈夫です。
しかし、暴風雨によるダメージが、少しでも緩和されるように、土寄せの確認をしました。
株と株の間が、ほとんどなくなってきました。
(ミニハクサイのため、株間を25cmで定植)
土寄せの確認をしながら、ウネの肩面に、少量の堆肥を施しました。
堆肥の説明は、
家庭菜園【あなたと育てる:ブロッコリー】
6 【中耕・追肥・土寄せ】●<土寄せ確認と堆肥>を御覧ください。
また、堆肥と肥料については、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
1 【農演芸資料】⑹<土壌改良材と肥料>を御覧ください。
ハクサイは、「先行逃げきり型」の野菜です。
生育初期に肥料を効かせて、後半は肥料過多にならないように注意しましょう。
<台風を免れたミニハクサイ>
ミニハクサイは、もともと草丈も低いので、台風の影響は、あまり心配していませんでした。
上の写真でも、歴然のことですが、いちばん右側の列のハクサイが、順調に育っていますね。
それは、もともと生育のよい苗を植えたからです。
そして、真ん中の列、左側の列というように、それぞれ、苗の大きい順に定植しました。
左側の列が最も小さく見えるのは、撮影の角度だけではありません。
写真に向かって左側が、南なんです。
そうです、いちばん生育の遅い苗は、最も南側の列に植えてあげましょうね。(細やかな親心です)
<ミニハクサイ:追肥・中耕>
ウネ間が、だんだんと硬くなってきました。
発酵鶏ふん
ウネ間の中耕をかねて、1㎡あたり100gほどの鶏ふんを施しました。
中耕の際は、ウネ間の硬くなった土をほぐしながら、鶏ふんと、良く混ぜ合わせます。
中耕、追肥、土寄せの作業は、ハクサイの外葉が育ち、ウネ間に立ち入れなくなるまで、
必要に応じ、行っていきましょう。
ウネ間の土がかたくなってきました。
クワなどを使って、ウネ間の中耕を兼ね、株元に(ウネの肩に)ウネ間の土をかけましょう。
ウネ間を耕し、土寄せをすることで、根に対する通気性や肥効性を高めることができます。
(2022.10.5)
雨上がりのハクサイは、一回り大きくなってきました。
結球が始まろうとしています。
中央の葉が、中心に向かって、だんだんとまとまってきています。
ウネ間の中耕と、追肥をする適期です。
中心の葉が結球しようとしています。
中心に夜盗虫(よとうむし)が入り込みがちで、虫が入ったまま結球すると、虫が中から食害します。
夜盗虫の活動は、暗くなった7時ころに活動しますので、懐中電灯と割り箸を使って、駆除しておきましょう。
* 西暦が記されていない画像は、昨年(2021)のようすです。種をまいた日がことなりますので単純な比較はできませんが、参考にしてくださいね。
向かって左側の列は、定植したころ比較的小さな苗でしたが、南側に植えたため、
今では他の株と同じように成長しています。
ハクサイの中心が、結球してきました。
これから、どんどん内側の葉が結球し、おなじみの形になってきます。
まだ、完全な結球はしていませんが、早めに収穫して、鍋に入れて利用しましょう。
これから、ますます結球が促進し、かたくしまってきます。
8月の猛暑のため、数回の発芽に失敗してしまいました。
そのため、定植時期がずいぶん遅くなってしまい、結球が始まった時点では、初霜が降りるぎりぎりの状態です。
しっかり結球してくれることを、ただただ祈るばかりです。
12月中旬になり、しっかり結球しました。
さすがに無農薬栽培のため、虫食いの葉もありますが、せっかくの家庭菜園ですから、無農薬・低農薬栽培をおすすめします。
また、結球後、霜にあたると、せっかく結球した葉が、
だんだん開いてしまいます。
結球した頭を、ヒモでしばっておくとよいでしょう。(昔の農家では、ワラでしばりました)
【ミニハクサイ:収穫】
ミニハクサイは、小ぶりなため、冷蔵庫で、保存しやすいという特徴があります。
また、必要なときに収穫できるので、いつでも、新鮮な野菜が味わえます。
(2022.10.22)
日に日に結球が促進しています。
結球した頭をおさえて、固くなっていれば収穫の適期です。
収穫の適期の少し前の段階ですが、草丈30cm程度になり、収穫してサラダや鍋に入れていただきます。
ミニハクサイの葉には、毛がありませんので、サラダでも美味しく食べられますよ。
収穫したミニハクサイの重さは、1.1kgでした。
料理で残った場合でも、小ぶりなハクサイですから冷蔵庫に入れて、保存しやすいというメリットもあります。
だんだんと、結球が促進してきました。
2024年は昨年と同じく猛暑だったため、種まきを半月ほど遅くしました。
そのため、例年よりも結球が遅く半結球ですが、鍋料理の具材として利用できる状態になりました。(冷蔵庫の野菜室で保管しやすい大きさです)
<ミニハクサイ:収穫後の工夫>
ハクサイやキャベツなどの結球野菜は、結球部を収穫した後、不要になった外葉は、
片付けずに、その場に放置しておきましょう。
残さ(ざんさ)を放置しておくことで、収穫した株の外葉や、株の周囲にいた害虫が、収穫前の株に移ることを防ぎます。
外葉は、虫に食べられています。
家庭菜園ならではの、安全野菜の証明ですね。
しかし、食べられ過ぎでもいけませんよ。
2023年は猛暑のため、ブロッコリーと同様、発芽が芳しくなく、種まきを2回行うことになりました。
そのため、まだ結球していませんが、どのよぷに生長するか楽しみです。
霜がたくさん降りる季節です。
霜が降り始めた頃に、結球部をヒモで縛っておきました。
外葉は、ずいぶん枯れていますが、結球部は、しっかり利用することができます。
ハクサイは、結球部が霜に当ると、葉が開いてしまうので、注意が必要です。
<ベランダのミニハクサイ>
ブロッコリーにくらべて、成長がはやいですね。
鉢に定植した時期が、庭植えより1週間ほど遅れています。
がんばって、結球してくれるでしょう。
中心の葉が、まとまり始めました。
【ミニハクサイ:冬越しの方法】
ビニールひもやジュートひもで、ハクサイの結球部(頭)を縛ります。
ハクサイの頭縛りをすることで、葉が凍るのを防ぎ、越冬させることができます。
霜が本格的に降り始めました。
外葉は虫に食べられていますが、結球部分はきれいです。
ハクサイの甘味がいちだんと増す時期です。
霜によって、頭頂部が開かないうちに、全部のハクサイの頭を縛っておきましょう。
欲に寒冷紗やビニールトンネルで保護していない株は、霜や寒さによって外葉が枯れます。
また、結球部の外側も痛んできますが、痛んだ葉を取り除くと、小ぶりながらも
新鮮な部分が表われます。
せっかくですから、できるだけ長く利用しましょうね。
これも、家庭菜園ならではの活用方法です。
【ミニハクサイ:失敗した栽培例の御紹介】
種まきと苗の定植時期が遅れると、結球しないうちにトウ立ちしてしまいます。
地域によって異なりますが、ここ北関東では、3月中旬にもなると、トウ立ちし開花します。
地域の気候にあった栽培の仕方が、いかに大切かを物語る失敗例でした。
霜にあたって葉が痛まないようにする。
葉を保護した上で寒い冬を迎えると甘くなる。
結球部分の形が整う。
結球部内への土やほこりの侵入を防ぐ。
正解:葉菜類
本稿では、茎を利用するアスパラガスや、花蕾を利用するブロッコリーを含め、葉茎野菜として分類しています。
カリフラワー、ブロッコリー、食用ギクなど、花蕾を利用する野菜を花野菜と呼ぶこともあります。
また、レタス、キャベツ、ハクサイを結球野菜ともいいます。
“クイズ-2の答え”]正解:ミツバ
よろしかったら、絵手紙作品集を御覧ください。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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