足利市指定文化財「物外軒茶室」と、
国登録名勝地「物外軒庭園」を御案内します。
「物外軒茶室・庭園」は、無料公開日が指定されています。
この機会に、すばらしい日本文化の一端を、
ぜひ御堪能くだされば幸いです。
目 次
【物外軒:基本情報】

所在地 | 足利市通6丁目3165番地 (織姫公民館北側) |
---|---|
電 話 | 0284-20-2230(市文化課) |
公開日 | 4・5・10・11月の土・日曜日 祝日、6月第2日曜日 *令和2年度・3年度:土曜日公開中止 |
公開時間 | 午前9時~午後4時 |
参観料 | 無料 |
アクセス | JR両毛線足利駅から徒歩19分 東武伊勢崎線足利市駅から徒歩20分 北関東自動車道 足利ICから15分 |
駐車場 無 料 |
さいこうふれあいセンター(写真) 織姫公民館 織姫観光駐車場 +おすすめ:さいこうふれあいセンター |
その他 | 物外軒茶室は、お茶会など年間を通して 使用できます。(受付:市文化課) 使用料:11,000円(税込) *年末年始(12月28日~1月4日)は 除きます。 |


物外軒周辺地図は、こちらです。
<駐車場>

物外軒の反対側(北)に、専用駐車場が用意されています。


<駐車場から物外軒まで>
おすすめの駐車場は、
「足利さいこうふれあいセンター」の駐車場です。

駐車場のすぐ反対側に、物外軒があります。
足利ふれあいセンターの駐車場を出て、
左(東)に曲り、歩道を進みます。
(前方方面は織姫神社、後方面に、
渡良瀬橋の歌詞に出てくる 「床屋さんと
公衆電話」があります。いずれも、徒歩3分)
織姫神社、「床屋さんと公衆電話」については、
「渡良瀬橋」まで車椅子や徒歩で安全に楽しむ
ルートを阿蔵で紹介
5-⑵ 通七丁目交差点⇒「床屋・公衆電話」⇒
「織姫神社前」ルートを御覧ください。
すぐに、手押しの信号機がある横断歩道に着きます。

横断歩道を神社側(南)に渡ります。
目の前の神社と物外軒の間に。
「足利 まちなか御利益マップ・渡良瀬橋」
の看板が付けられています。

最近、市内でよく、見かけるマップで、
市内散策スポットの御案内として、活用されています。
なんと、神社内にも、
足利市内6つめの「八雲神社」があったんです。
森高千里さんの歌『渡良瀬橋』に登場する
「八雲神社」ですが、市内には5箇所とされていました。
(後日、別の記事で御紹介しますね)
足利市内の「八雲神社」については、
『渡良瀬橋』の歌と5つの「八雲神社」巡り
を御覧ください。
横断歩道を渡って、右に曲ります。

神社を左手側にして、歩道を直進します。



物外軒の門は、公開日のみ開かれます。
公開日以外のお茶会などは、
織姫公民館側から入るようです。
(正門から入るのは、また格別な気分!)
門の前に、受付がありますので、
必要事項を御記入の上、御参観いただきます。

表札の書体からして、趣があっていいですね。
ここで再び、お子さんからの質問です。
「なんで物外軒って言うの?」
茶室「物外軒」を建てた長 四郎三は、
号を物外軒、又は白翁といい、
茶室もこの号に因んで名付けられました。物外とは、禅のことばで、世間の事物を
超越した絶対の境界をいいます。出典: 長 太三 著 「物外軒雑記」より

【物外軒:足利御庭守之印】

(posted with permission)
足利庭園文化協会は、足利市内の貴重な庭園文化を
後世に伝えることを目的として、平成21年(2009)春に
設立されました。
そして今回、日本古来の庭園を継承・保存に取り組む市民グループ
「足利庭園文化研究会」により、「御庭守之印」:「庭園朱印」が
作成されました。

足利にある日本古来の庭園を継承することを目的として、
庭園文化の保存などに取り組む市民グループ
「足利庭園文化研究会」が、「庭園朱印」を作成しました。
2022年11月19日~20日に公開される庭園は、
国登録記念物(名勝地)の物外軒庭園(通6丁目)、
新藤氏庭園(山下町)、巌華園(月谷町)、
国史跡の樺崎寺跡浄土庭園(樺崎町)の4庭園です。

朱印をでデザインしたのは、
栃木県立足利工業高等学校産業デザイン科のみなさんです。
朱印は、各庭園の風景となっています。

【物外軒: 庭園】

出典:足利市文化財愛護協会
歴史再発見ブックレット第1号「物外軒雑記」
長 太三 著
編集・発行 足利市文化財愛護協会事務局

北門を入り、御影板石をたどると、
「丸型蘭渓灯籠」(まるがたらんけいとうろう)
が出迎えてくれます。
蘭渓灯籠は、弓なりになった一本足が特徴です。
さらに奥に進むと、左手側に、五重塔が見えてきました。

五重塔の反対側には、どっしりと重厚感のある
灯籠もありました。

善導寺型灯籠(ぜんどうじがたとうろう)は、
全体的に厚みのある灯籠です。
中台の側面に、ハート型の彫り込みがあるのが
特徴的です。
物外軒は、「まちなか」にありますが、奥に進むほど、
周囲とは隔絶された静寂の世界です。
リーフレットにもありますように、
「古庭園で安らぎのひとときを・・・」という言葉が、
しっくりとする庭園といえます。

御影板石をさらに進むと、今度は、
左右に春日型灯籠(かすががたとうろう)が
見えてきます。

春日型灯籠は、標準的な石灯籠で、
「春日大社」に多く用いられていることから、
名前の由来となっています。


灯籠と稲荷神社を前方に見て、左に曲ると、
藤棚が見えてきます。

藤棚のすぐ左側に、居室があります。



<国登録名勝地「物外軒 庭園」>
[概要]
物外軒庭園が、国登録名勝地に登録されたのは、
平成20年3月28日です。
物外軒庭園は、南側の茶室に通じる二重露地と、
北側の築山・池の二部構成になっています。
作庭時期は、不明です。
昔、柳田家がここに屋敷を構えていました。
茶室が移築されたのは、明治34年です。



池には、江戸中期に流行した鶴亀信仰が
取り入れられています。

鶴亀信仰の庭園は、
足利学校北庭園にも取り入れられており、
いずれの池にも、鶴島と亀島が造られています。
足利学校については、
足利学校と「松竹梅の伝説:現代版かなふり松の回答!」を御紹介
を御覧ください。





<夜間公開&ライトアップ>

ライトアップされた美しい紅葉が、
庭園の池に映えます。

夜間公開とライトアップは、1年で2回限りの
限定イベントです。


【物外軒:茶室】

出典:足利市文化財愛護協会
歴史再発見ブックレット第1号「物外軒雑記」
長 太三 著
編集・発行 足利市文化財愛護協会事務局
茶室は、表千家不白流の流れを汲むもので、
木造平屋の切妻造です。
茶室内部は、三畳台目の茶室と三畳の次の間、
板の間、水屋からなっています。

茶室の建築に当っては、日本を代表する
古筆鑑定家「古筆了仲」の指導のもと、
慎重を期したと伝えられています。


床の間に置かれた額は、長四郎三の直筆
による「物外」です。



<物外軒:茶室について>
物外軒 茶室が、足利市指定文化財に指定されたのは、
昭和43年11月1日です。
[起源]
物外軒 茶室は、江戸時代から回漕問屋を
営んでいた「萬屋」の三代目「長四郎三」
によって建てられました。
茶室は明治初年、渡良瀬川畔の猿田河岸
現在の足利市猿田町
の長四郎三の邸宅内にありました。
(当時は、渡良瀬川による河川舟運が主流でした)

徳蔵寺:栃木県足利市猿田町9-3
徳蔵寺の詳細は、
足利七福神めぐり「自転車東:4時間コース」
7 ⑥【徳蔵寺】を御覧ください。
回漕問屋 万屋 (長四郎三)
『大日本博覧図』栃木県の部(復刻版)
[長四郎三]
江戸にも名をとどろかせた豪商で、
漢詩・和歌・俳句・書画・骨董の収集にも通ずる
教養人として伝えられています。
長四郎三は、この茶室に自らの雅号「物外」に因み、
「物外軒」と名付けました。


[変遷](へんせん)
その後、物外軒は、明治34年に
足利の柳田家が譲り受け、
現在の場所に移築されました。
さらに、昭和48年に、当時の所有者だった
鈴木栄太郎氏から、庭園とともに足利市に
寄付されました。

延段:(のべだん)は、内露地の飛び石に通ずる通路です。
飛び石とは異なり、石と石の隙間がほとんど無いため、
歩幅を気にせず歩くことができます。
これぞ、日本の「おもてなし」の心ですね。

茶室南側の内露地にある、
蓮華寺型灯籠(れんげじがたとうろう)です。
蓮華寺型灯籠の特徴は、とがった塔に、
屋根瓦の模様が付けられています。
どことなく、おしゃれなデザインですね。

織部角形灯籠(おりべかくがたとうろう)は、
古田織部が好んだとされ、茶庭などに用いられます。
茶室の躙り口(にじりぐち)の蹲踞の水鉢は、
江戸城富士見亭の礎石を譲り受けたもので、
京都の名石・鞍馬石(くらまいし)です。
蹲踞の海は、水琴窟(すいきんくつ)が作られており、
今でも、わずかな音色を聴くことができます。
礎石:建物の柱を受ける土台石。
単に、礎(いしずえ)とも。
鞍馬石:(くらまいし)京都「鞍馬山」の石。
見た目は白く、磁硫鉄鉱が含まれているため、
時の経過とともに、茶色く変化し
「わびさびの石」として好まれています。


茶室の北側にある泰平型灯籠(たいへいがたとうろう)です。


【物外軒:居室】

茶室の東隣には、居室があります。
この居室は、入場自由で、ゆったりとした時間を
過ごすことができます。

居室に入ると、パンフレットコーナーがあります。
書籍などの有料品は、玄関前の管理棟で購入できます。


居室から見る庭園も、たいへん趣があります。

どことなく、懐かしさを感じさせてくれる居室です。
まるで、昔にタイムスリップしたような・・・。
【物外軒庭園の茶花と風景】

庭園の樹木は、赤松とモミジが主体ですが、
山野草も植えられています。
秋の紅葉はもちろんですが、
季節の花々を楽しむこともできます。


庭園と茶室、居室が一体となっており、
周囲の雰囲気とよく馴染んでいます。
なんとなく寝そべって、昼寝がしたくなる空間です。

庭園に敷かれている飛び石は、「渡良瀬飛び石」と
「挽き臼」がバランスよく配置されています。
そして、八ツ橋、平石橋と山灯籠、江戸雪見灯籠が
絶妙なアクセントとなっていました。




参観を終えて、北門に向かう途中、
利休居士の言葉が浮かんできました。
「花は、野にあるように」
足利灯り物語の詳細は、
足利灯り物語:渡良瀬橋・織姫神社・鑁阿寺・足利学校・物外軒へ
を御覧ください。
【物外軒庭園ギャラリー:2023.4.2】
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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