日本遺産第一号の史跡足利学校は、日本最古の学校として有名ですが、
学問の神様、正一位霊験稲荷社(以下、足利学校稲荷社)で
学業成就や合格を祈願するのはなぜでしょう。
それは、読めない文字などを書いて枝に掛けておくと、
翌日に答えが書いてあるという「字降り松」の
伝説によるものでしょうか。
実は、それだけではありません。
足利学校内にある「孔子廟」の庭に、
実が落ちないという梅があるんです。
もともと「梅」といえば、
「東風吹かば匂ひおこせよ梅の花主なしとて春をわするな」
との歌でおなじみの「飛梅」の話が思い浮かびます。
現在、学問・受験の神として親しまれる菅原道真と梅との伝説は、
シンガーソングライター ♬ さだまさし ♬さんも歌っていましたね。
そんなわけで、史跡足利学校と学問の守り神との関係を
簡単にまとめると、次のようになるでしょう。
● 足利学校は、日本最古の学校
● 字降松は、解答を導く幸運の松「神を待つ」
● 孔子廟の庭に植栽されている梅の実は「落ちない」
● 孔子は、儒教の祖、学問の神様といわれた小野篁
● 足利学校稲荷社の狐は、災いを避ける眷属
以上の他に、史跡足利学校は、学問にまつわる
史実の宝庫でもあります。
筆者は、史跡足利学校と足利学校稲荷社が、
日本一の「学業成就」と「合格祈願」の
スポットであることを信じてやみません。
【 正一位霊験稲荷社(足利学校稲荷社)】

史跡足利学校「學校門」の手前にある「正一位霊験稲荷社」です。
現在は、学問の守り神「足利学校稲荷社」としても信仰を集め、
学業成就や合格を祈願する参拝者が、全国各地から訪れています。
足利学校稲荷社は、創建500年前とも伝えられ、
日本最古の学校にある学問の守り神として霊験あらたかで、
絵馬やお守りも授与されています。
(授与は、チケット売り場です)
<足利学校稲荷社:基本情報>
正式名称 | 正一位霊験稲荷社 (足利学校稲荷社) |
---|---|
主祭神 | 稲倉魂命 (うかのみたまのみこと) |
祭 日 | 2月初午 |
所在地 | 〒326-0813 足利市昌平町2338 |
電話・Fax | 電話:0284-41-2655 Fax:0284-41-2082 |
参拝時間 | 終日 |
料 金 | 無料(足利学校参観は有料) |
アクセス | 東北自動車道佐野藤岡 IC:15分 北関東自動車道足利 IC: 15分 北関東自動車道太田桐生 IC: 20分 北関東自動車道佐野田沼 IC: 20分 |
駐車場 (無慮) |
史跡足利学校多目的駐車場:乗用車8台 太平記館観光駐車場:乗用車40台 バス:10台 たかうじ君広場駐車場:乗用車35台 (内・軽自動車11台) |
足利学校公式HP | https://www.city.ashikaga.tochigi.jp |
<足利学校稲荷社:境内>




<足利学校稲荷社:御朱印>

足利学校事務所棟の受付で授与されています。
御朱印授与:4月~9月 午前9時~午後4時30分
10月~3月 午前9時~午後4時までです。
<足利学校稲荷社:境内由緒書>
足利学校第7世庠主玉崗瑞璵(九華)は
天文23年(1554)9月、足利学校の鎮守である
稲荷大明神の社殿を再建し、八幡大菩薩を
合祀したとあることから、創建はこれよりさかのぼる。霊験あらたかで、江戸時代には足利の町をはじめ
多くの人々の信仰をあつめた。伝えによれば、稲荷社の狐が異変を知らせてくれた
ことから、大切にされ、11月には御供小豆飯を
わらにのせ、狐穴に供えたという。
* 足利学校歴代庠主(校長)の詳細は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
7【足利学校】・<足利学校歴代庠主(校長)一覧>
を御覧ください。

明和7年(1770)第16世庠主千渓元泉が、
稲荷大明神を改め、正一位霊験稲荷社とした。参道左右の石灯籠は、元文2年(1737)と
明治40年(1907)、水屋の手水鉢は
天明7年(1787)に、神前にある佐野天明鋳物の
灯籠は、安政4年(1857)に寄進されたものである。




もとは遺蹟図書館付近にあったが、天神などの
諸神を合祀し、明治42年(1909)に現在地に
移された。現在は、学業成就の神として信仰されている。
令和2年3月吉日 境内由緒より

神前には、眷属の金色の狐と木製の狐が控えています。
* 眷属:神様の使者。
* 御神体:本殿にあり、神は、祭礼が行われる度に神域である
「常世(とこよ)」より降臨し、人間の住む世である
「現世(うつしよ)」に来訪する「依り代」(よりしろ)をいう。
「依り代」は、「御霊代(みたましろ)」とも呼ばれ、
神職ですら触れることは許されない物も存在しています。
<足利学校稲荷社:「足利市史」由緒>

24 稲荷神社(無格社)昌平町
本市昌平町聖廟外道路の西に在り。もと境内にありたるを、
明治42年、現在の地に移さる。祭神は、稲倉魂命。祭日は、
2月初午。社殿は、開口3間・奥行4間半。境内に、5社明神あり。
祭神は、太田命・稲倉魂命・保食命、大巳貴命・
大宮姫命の5柱なり、由緒未詳なるも、「足利學校の鎮守」
として祀りしものなるべし。足利學校諸建物繪圖(寛文年中作製)中に、境域の西南に、
此の社あり
境内に、元文5年(紀元2400年)、奉納の石燈籠の1對あり。足利市役所(編纂)(1977), 第三篇 第一章 神社
足利市役所代表者 大給 新・永倉 牧太 足利市史 上巻の二
永倉活版所 pp.1,130
【足利学校稲荷社:魅力的な文化観光を促進】
<足利学校稲荷社:社殿内のリニューアル>

足利学校稲荷社内をもっと見やすくする目的で、
巧みな技と、細心の注意を要するリニューアル作業が
行われていました。
このほど、史跡足利学校の業務の一部が
10月1日(2022)から、足利市観光協会
(早川慶治郞代表理事)に委託されました。
その際、幣殿の神具を慎重に調整する宮大工
髙橋 英二さんにお会いしました。
髙橋さんは、新潟県柏崎市の御出身で、
現在、足利市八椚町にお住まいの宮大工さんです。
このほど、たいへん貴重なお話を数多くうかがうことができ、
当ブログへの写真掲載も、快く承諾してくださいました。

髙橋氏は、總社八雲神社(緑町)の再建に、
筆者の恩師である故 櫻木宮司と共に手がけ、
伊勢神宮に足を運びました。
また、足利織姫神社の縁結び坂にある「七色の鳥居」の
製作者であり、「足利灯り物語」の足利銘仙行燈も
一手に製作されています。

* 足利灯り物語の詳細は、
足利灯り物語:渡良瀬橋・織姫神社・鑁阿寺・足利学校へ
を御覧ください。
今回の髙橋氏の奉納は、足利学校稲荷社の御賽銭箱で、
欅を釘1本使わずに製作されていました。

欅の木目が見事に生かされた手作りの御賽銭箱は、
見れば見るほど美しく、精巧に仕上げられているのが
よくわかります。
これぞ、「匠の成せる技」なんだと感銘しました。


拝殿にある歴史を感じさせる旧御賽銭箱と、
鈴緒の下に奉納された新御賽銭箱です。
参拝した日が、ちょうど新御賽銭箱の奉納日で、
なんと筆者の御賽銭が最初になりました。
「(あなたは)なんと運のよいことでしょう」と、
髙橋氏がつぶやきました。
これぞ神の御導き、八雲神社の櫻木宮司との
縁なのでしょう。
そして、筆者は翌日のこと、櫻木宮司の同僚だった
Y先生とも十数年ぶりにお会いすることもできました。
なんとも不思議な、そして偉大なパワーを感じる
かけがえのない出来事となりました。
<足利学校稲荷社:新しくなった看板とゲート>

鳥居の前に設置された新しい看板によって、
足利学校稲荷社の存在がさらによくわかるようになりました。
さらに、ゲートの工夫改善によって、
稲荷社が無料で参拝できることを示す有料区間も
明確に区分され、役立てられていました。

<足利学校稲荷社:絵馬とお守り>

足利学校稲荷社では、学業成就・合格祈願の絵馬と
お守りが授与されています。(2022.10.1より)
従来の五角形(家型)絵馬は、梅と松があります。
(頒布価格:700円)


お守りは、ピンクの「梅」色と、グリーンの「松」色です。
(頒布価格:700円)


絵馬は、松型と梅型の2種類があります。
(頒布価格:800円)
足利市長の絵馬

* 詳細は、足利市観光教会公式サイト学び舎のまち足利
史跡足利学校、学問の守り神・足利学校稲荷社
を御覧ください。
* 足利学校稲荷社近隣の神社の詳細は、
八雲神社と足利21の神社めぐり【まとめ】
を御覧ください。
【足利学校:学業成就と合格祈願】
<足利学校参観案内>

足利学校稲荷社へは無料で参拝できますが、
學校門からの入場は、参観料が必要です。
事務所チケット売り場で、チケットが購入できます。
なお、チケット売り場のカウンターに、
絵馬とお守りも用意されています。
参観時間 | 4月~9月:午前9:00~午後5:00 (受付は午後4:30まで) 10月~3月:午前9:00~午後4:30 (受付は午後4:00まで) |
---|---|
休館日 | 原則第3水曜日 (10月、11月は第2水曜日 祝日、 振替休日の祭は翌日) 年末(12月29日~12月31日) * 施設整備のため臨時休業あり。 |
参観料 | 一般:個人420円 団体(20名以上)350円 高校生:個人220円 団体(〃)170円 * 中学生以下無料、障がい者の方は 障害者r手帳のご提示で無料です。 (付き添いの方1名も無料となります) |
アクセス・問合わせ等 | 上記:足利学校稲荷社と同じ。 |
<入学証と學生証>


有料参観者に発行される入学証と學生証です。
學生証はシールになっており、参観の際、
衣服に付けられるようになっています。
(返却は不要)
また、入学証の裏面には、参観記念スタンプを押すための
スペースがあります。
なお、参観記念スタンプは、事務所受付の隣、
ビデオシアター側のカウンターに用意されています。
<字降松は、神を待つ>

学校門と杏壇門の間に、字降松(かなふりまつ)があります。
字降松の伝説
学徒が読み方のわからない字や、
意味の解らない言葉などを紙に書いて
この松に結んでおくと、翌日には、
ふり仮名や注釈がついていたそうです。答えは、「九華」(きゅうか)が
書いていたと言われています。そうしたことから、「かなふり松」
と呼ばれるようになったと伝えられています。
* 九華(1500~1578)とは
名は玉崗(ぎょくこう)、諱(いみな)は、
瑞璵(ずいよ)、号は九華(足利学校での
学徒名)、大隅国(おおすみのくに)
(現在の鹿児島県の一部)にて生まれ、
伊集院(いじゅういん)氏(島津氏の一支族)
の出身です。


字降松の根元のすぐ近く(方丈側に、
「字降松質問箱」があります。
足利学校に関する質問を住所、氏名を添えて投函すると、
なんと、自宅に回答が送られてきます。
とても楽しくて勉強になるシステムですね。
質問用紙は、遺蹟図書館でもらえますので、
ぜひ御利用ください。
足利学校に古くから伝わる「字降松」の伝説は、
「松」が転じて「神を待つ」という意味がある
とされています。
<梅は、合格に通ず>

足利学校の孔子廟には、「西怪の不断梅」があります。
西階とは、孔子廟の西側の階段を示しており、
不断梅とは、実がいつまでも落ちない梅をいいます。
ということで、孔子廟西側階段の近くに植栽された
いつまでも実を付けている梅です。
不断梅は、他の梅に比べて、実が黒くなるまで
樹上にあるとされています。
もともと梅は学問を好む樹木で、学問に励むと
花が咲き、怠ると散ってしおれる「好文木」とも
言われています。
【好文木】(中国、晋の武帝が学問に励んでいる時は
梅の花が開き、学問を怠る時は散りしおれていたと
「晋起居注」に見えたといわれる故事から)梅の異称。国語大辞典[縮刷版](1974)第4巻 P.593 小学館
いずれにしても、好文木(梅)だけでも学問との関係が深く、
さらに「実が落ちない」となれば、合格祈願としては、
最強であり、日本最古の学校ともあれば、申し分ありませんね。
<儒教の祖:孔子と学問の神:小野篁>

大成殿には、孔子の坐像が安置されています。
天保2年(1832)画家の渡辺崋山
(わたなべかざん)などによって、
蔵の胎内名などが発見され、天文
4年(1535)に製作され、収めら
れたことが明らかになっています。出典:『足利学校』
史跡 足利学校事務所(2000-2019)
孔子坐像のお隣に祀られているのは、
足利学校の創健者ともされている
小野篁(おのの たかむら)坐像です。

古くから、「足利学校は、小野篁の創建なり・・・」
と伝えられており、創始者として江戸中期に造立し、
向かって右側に祀られたものです。出典:『足利学校』
史跡 足利学校事務所(2000-2019)
足利学校の徹底解説は、
足利学校と「松竹梅の伝説:現代版かなふり松の回答!」を御紹介
を御覧ください、
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
Y/Kさん、コメントありがとうございます。 足利市内の八雲神社は、松田町と小俣町…
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