〈大久保分校スタートアップミュージアム(略称OBSM)〉は、
栃木県足利市にある2001年に閉校となった
足利市立毛野小学校大久保分校を改築し、
2022年4月に「現代アートの美術館」としてオープンしました。
【なつかしい大久保分校の校舎】

旧大久保分校は、1660平方メートルの敷地に、
1929年(昭和2年)に建てられた床面積307平方メートルの
木造平屋の校舎です。
2001年の閉校になる以前は、足利市立毛野小学校の
1~3年生の内、大久保町、川崎町に在住する児童が
通学していました。
【大久保分校スタートアップミュージアム】
<ミュージアムのエントランス>

校舎の昇降口が、美樹館の入り口になっています。

本日のワークショップは、「シルクスクリーン体験」です。
<ミュージアム館内の案内>

美樹館内には、入口側から、
分1(ブンイチ)~分3(ブンサン)という
それぞれ異なる3教室があります。
教室廊下側の吊り看板が目印です。
各教室内へは、御自由にお入りになって御覧いただけます。
教室銘 | 室名 |
---|---|
分1(BUNICHI) | 受付/事務室 ショップ・大久保茶館(カフェ) |
分2(BUNNI) | 展示室 |
分3(BUNSAN) | 工房 |
* 分2(展示室)+分3(工房)スペースの愛称:つくりえ -TSUCULIE- は、
一般公募によって決定されました。
<分1(BUNICHI)>

ミュージアム入り口から、1番目の教室が<分1>です。
<分1>教室には、受付・事務室・ショップ・カフェがあります。
<ショップ>






オリジナルトートバック、巾着袋、ステッカー、
画集など、各作家による作品が販売されています。
ショップでは若手アーティストや、
展示作家の作品、地元ゆかりの商品が販売されています。
<カフェ《大久保茶館》:茶禅花>

大久保茶館は、足利出身の
川田智也(東京南麻布「茶禅華」オーナーシェフ)、
吉野慶一氏(京都に拠点を置くチョコレートブラント
「Dari K」代表)の監修による中国茶、チョコレートが
提供されています。
茶禅華:ミシュランガイド東京の三つ星中国料理店。


<分2(BUNNI)>
<展示室>
大久保分校の分2:展示質
大久保分校スタートアップミュージアム〈OBSM〉は、
昔なつかしい木造平屋建ての教室や廊下を生かし、
展示とワークショップなどを行う工房です。
* OBSM:一般財団法人おもい・つむぎ財団が運営しています。
<分3(BUNSAN)>
<工房:アート体験の場と、交流の拠点として>

工房
若手アーティストへの展示機会が提供されます。
シルクスクリーンなど、版画を中心とした
制作体験ができるスペースで、
定期的にワークショップが開催されています。
地元足利でもアートに触れたい人が、
”みる” ことも ”つくる”こともできる、さまざまな
アート体験ができる場所となり、交流の拠点となることを
目指しています。
なお、展示室においては、若手アーティストや、
おもい・つむぎ財団のコレクションによる、
年間約6本の企画展が開催されます。
工房〈つくりえ - TSUCULIE -〉は、分2展示質と
分3工房をメインスペースとしています。

子どもたちへの本格的な制作体験が
提供されています。

<ミュージアム〈OBSM〉基本情報>
名称 | 大久保分校スタートアップミュージアム (略称 OBSM) O:okubo B:branch(分校) S:startup M:museum |
---|---|
所在地 | 〒326-0012 栃木県足利市大久保町126 |
電話・EMail等 | つくりえ- TSUCULIE - 0284-22-7868 okubo.museum.0421@gmail.com 一般財団法人おもい・つむぎ財団 0284-43-8913 https://www.omoi-tsumugi.org/ |
開館日 | 毎週、金・土・日・祝日 工房のみ月・木も開館 |
開館時間 | 10:00~17:00 |
休館日 | 毎週火・水 お盆(8/13~15) 年末年始 |
入館料 | 無料 |
アクセス | JR両毛線 あしかがフラワーパーク駅 :車5分 徒歩29分 足利市生活路線バス富田線 「大久保川崎入口」下車:徒歩15分 北関東自動車道 足利IC:16分 東北自動車道佐野藤岡IC:27分 |
駐車場 | あり(無料) |
特記事項 | お問い合わせ・ワークショップ申し込み 上記、つくりえ- TSUCULIE -まで |
ミュージアム(OBSM)周辺の地図は、こちらです。
<金子未弥〈つくりえ - TSUCULIE -〉第1回展示会>

「コスモスが咲いたら
花束を作って
誰か知らない人に渡してください。」
金子 未弥(KANEKO Miya)
2022年4月22日(金)~6月12日(日)
大久保分校スタートアップミュージアム
〈つくりえ - TSUCULIE -〉第1回目の展示は、
金子未弥による「コスモスが咲いたら花束を作って
誰か知らない人に渡してください。」を行います。金子は、近年「記憶」から「都市」を描き出す作品を
多く手掛けています。本展示を行うにあたり、金子は足利に滞在し、
大久保分校卒業生にインタビューを実施。語られた想い出をもとに、教室のなかに日時計を
制作しました。







日時計で影を作るのは、玉入れのかご、竹馬、
コンパス、楠の苗木、虫眼鏡など。これらは、卒業生との対話のなかに登場した、
多くが実際に分校で使われていたものです。作品の一部、窓際に置かれた机の表面には、
あるフレーズが刻まれています。このフレーズは、分校近所の家に咲いていた
コスモスを摘み取り、家人にプレゼントしたつもりが
怒られてしまったという、ほろ苦いエピソードがもとになり、
今回の展示タイトルにもなりました。


かつての在校生に流れていた、分校で過ごした
それぞれの時間が金子の作品で、ひとつのかたちで
表されています。新しくミュージアムとして、時を刻み始めた教室の中で、
さまざまな時間を感じてみてください。金子未弥 〈つくりえ - TSUCULIE -〉
第1回展示会パンフレット より
○ 1989年神奈川県生れ
○ 2017年多摩美術大学大学院美術研究科
博士後期課程終了
○ 「KYOTO STEAM 2022国際アートコンペティション」
(京都市京セラ美術館、京都、2022年)
○ MIND TRAIL 奥大和 心の中の美術館」
(奈良県天川村、2021年)
○ 「FUTURESCAPE PROJECT」
(象の鼻テラス、横浜、2021年)
○ 「黄金町バザール2021」
(京急高架下、横浜、2021年)
○ 「都市計画」
(BankART U35 2021,BankART KAIKO、横浜、2021年)
○ 「ラウンドテーブル2020 遊具-遊びをくすぐる-」
(KOCA、東京、2021年)
○ 2022年 KYOTO STEAM 2022国際アートコンペティション
准グランプリ
○ 2018年 ART IN THE OFFICE 2018 受賞
○ 2017年 Tokyo Midtown Award 2017
グランプリ受賞
【大久保分校を訪ねて】

ミュージアムが開館する前々日に訪れてしまった筆者は、
幸いにも、ボランティアの武政喜一さんにお会いすることが
できました。
武政さんは、分校内、校庭の楠、裏庭にある
昔、地域で尊敬されていた医師の墓所などを
ていねいに案内してくださいました。
武政さんをはじめ、スタッフ、アーティストの皆さん、
ありがとうございました。
<校庭の楠と飼育小屋>

校庭で、ひときわ存在感を示す楠。
2抱え半ほどの太さがあり、武政さんによると、
「分校が建設される昭和2年より前からあったのでは」
とのことでした。


楠の近くに寄ると、昔、木登りをしていた子どもたちの
元気な声が聞こえてくるような気がしました。

楠の根本には、小屋がありました。
きっと、飼育係の児童を中心に、
みんなでウサギを飼育していたのでしょう。
大久保分校は、ジブリのアニメに登場する楠を
思い出させます。

大久保分校スタートアップミュージアム(OBSM)近くの
「あしかがフラワーパーク」で販売されている帽子です。
余談ですが、あまりにも可愛すぎて、
つい買ってしまいました。
<偉大な医師の墓所>

分校の裏庭には、昔、貧しい人々のために
無償で治療したという医師の墓所がありました。
当時、たいへん信望が厚かったことをうかがわせる
立派な墓所でした。
残念ながら、碑文が風化しており、名前が分かりませんでした。 卒業生の皆さんや、御存知の方がいらっしゃいましたら、
ぜひ、コメントをいただければ幸いです。
* カフェ「茶禅華」のマスター島田さんが、
教えてくださいました。
医師の名は、仁医 平塚承貞 氏でした。
島田マスター提供の記事によると、平塚医師は、
慶応4年(1968)千葉佐倉の順天堂塾(じゅく)の
熟生名簿に、足利・平塚五朔の名があります。当時の塾長 佐藤尚中は、安政4年(1857)カッテンダイケの
第二次オランダ艦隊の船医、ポンペの訓育をうけた名医です。五朔は毛野の大久保の出身、この祖父が、人医の誉れ高い
平塚承貞です。承貞は、鈴木千里に次いで足利に医術をもたらした人でしょう。
<中略> オランダ医学が苦難の道を歩み続けた江戸末期、
迫害にもめげず、信ずるところに従って、足利地方に蘭学を
浸透した承貞こそ、郷土の生んだ大先覚といえるでしょう。人物風土記 ⑥ 信仰に生きた仁医 平塚 承貞 より
貴重な資料をご提供いただいた島田マスターに、感謝いたします。
<分校橋>

大久保分校のすぐ前は、尾名川が流れています。
そして、川に架かる橋の名は、なんと「分校橋」でした。


橋名板の字体まで、いい感じで趣がありますね。
分校橋(尾名川右岸下流側より)
思わず渡ってみたくなる橋です。
そして、筆者のこだわりの一つ、「平仮名の橋名板」は?


川は、「がわ」ではなく「かわ」、
橋は、「ばし」ではなく「はし」となっていますね。
橋によっていろいろですが、あえて濁点を使わないのは、
「川が氾濫したり、濁ったりしないように」という
建設者の願いが込められているからなんです。
橋の関連記事は、
「渡良瀬橋」と「渡良瀬川」に架かる12の橋
を御覧ください。


ふと、足下を見ると、きれいなタンポポが咲いていました。
<大久保分校入り口>

川崎町交差点の西方向、1番目にある交差点です。

横断歩道のある小さな交差点を北に曲ると、
右手側に大きな楠が見えます。

分校橋を渡ると、右側が大久保分校です。
卒業生の皆さんはきっと、
なつかしく御覧になられたのではないでしょうか。
大久保分校は、まさに昔の典型的な小学校の面影を
今なお残してくれているのです。


大坊山と麦畑、「麦秋」という言葉が浮かびました。
足利市内の美術館については、
足利市内の美術館:5選【まとめ】刀剣乱舞「山姥切国広」他
を御覧ください。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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m-tさん、コメントありがとうございます。 私もアンタレスの会員ですが、 ジムに…
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