足利のまちなかにある鑁阿寺(ばんなじ)の西側に、利性院(りしょういん)閻魔堂(えんまどう)があります。
「足利まちなかご利益マップ」には、大きな「えんま様」が描かれています。
しかし、利性院(閻魔堂)は、井草町の商店街にあり、参道が細い路地であるため、見逃してしまうことも多いようです。
そこで本稿では、迫力満点の「閻魔大王」をはじめ、お堂の裏にある貴重な石造物等を御紹介し、皆様の御参詣を心からお待ちいたします。
【利性院(えんま堂):閻魔大王大祭<2024>】
令和6年(2024)閻魔大王大祭冬季大祭についてお知らせします。
詳細パンフレットが御覧になれます。
下記PDFファイルをクリック(タップ)していただき、御確認の上、ぜひお越しくださいね。
【利性院(閻魔堂):サマリー】
利性院閻魔堂の門は、鑁阿寺の西堀(井草通り:県道208号)に面しており、閻魔堂は、井草通り商店街の路地を入ったところにあります。
<足利まちなか寺院:利性院(閻魔堂)基本情報>
名 称 | 瑠璃山 利性院 醫王寺 (法玄寺の末寺) |
---|---|
創 建 | 明暦年間(1655~1658頃と推定) |
本 尊 | 閻魔大王 |
宗 派 | 浄土宗 |
本 山 | 知恩院 |
所在地 | 〒326-0811 足利市井草町2388 |
大 祭 | 1月16日 8月16日 |
電 話 | 0284-22-0181(ウチダメガネ) |
参観・開館時間 | 10:00~18:30 ウチダメガネ(定休日) 水曜日・第3日曜日 |
料 金 | 無料 |
アクセス | 東武伊勢崎足利市駅:徒歩約10分 JR両毛線足利駅:徒歩約10分 北関東自動車道足利IC:訳10分 東北自動車道佐野藤岡IC:訳30分 |
駐車場 (無料) |
● 閻魔堂:2台 ● 足利市通二丁目多目的広場 (たかうじ君広場駐車場は、閉鎖されました) https://www.ashikaga-kankou.jp/access/parking |
特記事項 | 御朱印・御札・御守は、 ウチダメガネで受けられます。 |
<利性院(閻魔堂)駐車場:足利市通二丁目多目的広場)>
利性院(閻魔堂)の隣にある足利市通二丁目多目的広場(駐車場)の入口サインです。
足利市通二丁目多目的広場(駐車場)の入口は、通二丁目交差点の北西にあります。
駐車場の突き当たりに、利性院(閻魔堂)が見えます。
駐車場の御知用は、中心市街地を訪れる観光客・商店街の買物客の方を対象に、3時間を上限として開放されています。
<利性院(閻魔堂):駐車場>
利性院(閻魔堂)にも、駐車場がありますが、道が狭いため、足利市通二丁目多目的広場(駐車場)をおすすめします。
駐車場は、利性院(閻魔堂)入口前を通る井草通りの「ウチダメガネ」から、東に曲ると右手側にあります。
【利性院(閻魔堂)】
<利性院閻魔堂:縁起>
<境内由緒書>
利性院(閻魔堂)は、瑠理山醫王寺と号し、本尊は薬師如来で、巴町にある法玄寺の末寺です。
現在は、高さ約2mの閻魔大王坐像が正面に奉られ、井草の閻魔様と親しまれています。
毎年1月16日・8月16日には大祭が行われ、「交通安全」や「学業成就」などに御利益があり、近隣の信仰の厚い方々で賑わっています。
当お寺は、幾度かの火災で記録が消失してしまい、詳しいことは分かっていませんが、古老の云い伝えや僅かな資料によりますと、明暦年間(1655~1657)
勧譽善察和尚の創建と伝えられ、明治25年2月の大火においては堂宇が焼失したのにもかかわらず、信徒の方の機転により閻魔様の頭部のみが救われたと言い伝えられています。
また、明治の大火で焼失した堂宇は、信徒等の寄付により、同年中に再建され、平成21年8月には、法玄寺住職や信徒の方々の尽力により平成の閻魔堂が完成しました。
お堂の西側には、珍しい六地蔵石灯籠や五輪塔等の石造物が奉られており、往時の信仰の深い方々の賑いが想像されます。
閻魔大王は、中国の道教の神で地蔵菩薩の化身とも言われ、地獄に墜ちた方でも地蔵菩薩が救い出すと云う信仰です。
境内由緒書 より
<足利市史>
利性院(浄土宗)閻魔王の坐像あり
一位置 本市井草町に在り。瑠理山醫王寺と號す。法玄寺末にして、本尊は薬師如来なり。
二沿革 數度の火災に遭ひ、記録全くなし。古老の言を綜合するに、明暦年間(紀元2315-7年)堪誉善察和尚の創建なるが如し。
天保2年(紀元2491年)正月の大火に類焼して、再建せしも、明治25年2月、復焼失す。現在の堂宇は、篠崎・林兩氏及び信徒の寄付によりて、北郷村江川、吉川氏の坐敷を譲受け、同年中に再建せるものなり。
本尊の外に、閻魔大王の木坐像あり。高さ8尺。毎年1月・7月の16日を縁日とし、参拝者雑沓す。
法玄寺住職和田良順兼住す。
檀家なく、町内の寄付によりて維持す。附記この寺の前の井草通りを「縁切り橋」といふ。實際橋あるに非ず。
依りて婚禮の行列は、此處を通過するを避くる風習あり。
<風俗篇参照>
足利市役所(編纂)(1928), 第三篇 第二章 佛寺
足利市役所代表者 大給 新・永倉 牧太 足利市史 上巻の二
永倉活版所 pp.1,222-1,223
台 一雄. 足利の伝説. 岩下書店, 1997,p.39
足利市の古図によると、鑁阿寺と学校(足利学校)、神社(大門通り:八雲神社)付近にありました。
千手院は、1893年足利義氏創建とありますが、明治40年12月、許可ありて鑁阿寺に併合し、跡地は、譲渡となる。との記録があります。
足利市史 足利市役所. 関東資料研究会,
1928, 上巻の二 p.1,355
<縁切橋の伝説>
足利町全図によると、「縁切橋」という記載がありますね。
この周辺は、元亀天正のころ(1570~41591)足利長尾氏の城下成敗場として、罪人が処刑されたところです。
そんなことから、ここに架けられていた橋は「縁切橋」と呼ばれ、婚礼の行列はこの橋を裂けて通ったそうです。
足利市内には、こうしたパワースポットが多く点在しますが、現在、私たち市民は、「悪縁を断ち切る」という、むしろポジティブな発想をもって、伝説や歴史に親しんでいます。
縁切りということで、当サイトでは、日本一の縁切稲荷をあわせて御紹介しておりますので、よろしかったら御覧ください。
下野國一社八幡宮と日本一の縁切り稲荷・門田稲荷神社を御案内
<利性院閻魔堂:御朱印 >
御朱印を御希望の方は、参道の並びにある「ウチダメガネ」で対応してくれます。
利性院(閻魔堂)参道から2軒目のメガネ店です。
御朱印をお願いすると、閻魔堂内を案内してもらえます。
<利性院閻魔堂・御朱印を書く人の職人芸>
閻魔堂の御朱印を書いてくださるのは、ウチダメガネの店長一ノ瀬史郎さんです。
一ノ瀬さんは、腕利きの眼鏡職人で、本業の傍ら、「メガネのつる刀」を制作しています。
地元、下野新聞(2021/1/28)でも紹介されており、全国の刀剣ファンから注文が殺到・・・。
しかし、一ノ瀬さんは、「あまり、大々的にPRしないでほしい」と、本業に打ち込む職人気質の一面を滲ませていました。
<利性院閻魔堂:堂内の諸仏>
閻魔堂は、井草町内会で管理されており、集会所を兼ねています。
<利性院閻魔堂:閻魔大王>
<利性院閻魔堂:十王>
十王とは、仏教や道教などにおいて死者の魂を裁く十人の裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・①泰広王>
初七日:秦広王
最初の裁判官で、死後七日目の審理を行います。
<利性院閻魔堂:十王・②初江王>
二十七日:初江王
二番目の裁判官で、死後十四日目の審理を行います。
<利性院閻魔堂:十王・③宋帝王>
三十七:宋帝王
文殊菩薩を本地とする三番目の裁判官です。
死後二十一日目の裁きを行います。
<利性院閻魔堂:十王・④五官王>
四十七:五官王
死後二十八日目を担当する四番目の裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・⑤閻魔王>
五十七:閻魔王
死後三十五日目を担当する五番目の裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・⑥変成王>
利性院閻魔堂:十王・変成王
六十七日:変成王
六番目の裁判官。死後四十二日後の審理を行います。
<利性院閻魔堂:十王・⑦泰山王>
七十七日:泰山王(太山府君)
薬師如来を本地とする、死後四十九日目に
最終審理を行う裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・⑧平等王>
百ヶ日:平等王
観音菩薩を本地とする裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・⑨都市王>
一周忌:都市王
本地は勢至菩薩です。
死後二年目の審理を行う裁判官です。
<利性院閻魔堂:十王・⑩五道転輪王>
三回忌:五道転輪王
阿弥陀如来が本地とされる、十王最後の王です。
死後三年目の裁きを行う裁判官です。
<利性院閻魔堂:奪衣婆>
奪衣婆は、三途の川(葬頭河)で亡者の衣服を剥ぎ取る老婆の鬼です。
奪衣婆、葬頭河婆(そうづかば)、正塚婆(しょうづかのばば)、姥神(うばがみ)、優婆尊(うばそん)とも言われ、死者の罪状を初江王に報告する役割があります。
また、奪衣婆が付けている真綿を煎じて飲むと、病気が治るといわれています。
<利性院閻魔堂:仏像>
<利性院閻魔堂:御札・御守>
「最近、合格祈願に訪れる学生さんが増えている」とのお話をうかがいました。
御札と御守をお受けになる場合は、御朱印と同じく「ウチダメガネ」までお越しください。
<利性院閻魔堂:1月大祭>
毎年1月16日と、8月16日には大祭が開催されます。
この両日は閻魔様もお休みで、地獄の釜の蓋が開く日といわれています。
利性院 閻魔堂:大祭(1月16日)
リズミカルな太鼓の響きに合わせて、家内安全・無病息災・厄難消除・学業成就の
御祈願が行われます。
利性院(閻魔堂)は、瑠理山醫王寺と号し、本尊は薬師如来で、巴町にある法玄寺の末寺です。
大祭は、法玄寺住職 和田幸信上人と、従兄弟で長野の長谷寺(ちょうこくじ)住職 小林育道上人により挙行されました。
大祭後は、法玄寺住職和田幸信上人による法話を頂戴します。
利性院閻魔堂が鎮座する井草町をはじめ、地域の繁栄と発展を祈願する、ありがたい法話です。
足利市巴町:法玄寺の詳細は、
足利まちなか寺院:高福寺・法玄寺・三宝院の御案内を御覧ください。
中島太郎さんは、旅荘「巌華園」代表取締役社長であり、郷土の発展と活性化のために、各団体の役職に就き、『北の郷物語』の著者でもあります。
<利性院閻魔大祭:米粒名号>
米粒名号とは、小さな米粒に筆で「南無阿弥陀仏」と書くことを言います。
法玄寺には、昭和38年に滋賀県のお寺からいただいたものがあるそうです。
この米粒名号は、小林育道上人の手によるものです。
米粒名号ストラップで得た収益は、各災害地に寄付されます。
また、米粒名号の短冊には、
開運 「光明遍照十方世界 念仏衆生摂取不捨」長谷寺 善光寺如来の法前にて回向済
「阿弥陀如来の御光はあらゆる世界を照らして、心に阿弥陀如来を信じ称えるものを決して見捨てることはない」
とありました。
<利性院閻魔堂:8月大祭>
毎年1月16日と8月16日には、大祭が開催されます。
この両日は閻魔様もお休みで、地獄の釜の蓋が開く日と言われています。
閻魔大王のお供物が入っている紙袋にもオリジナルデザインが施され「おもてなし」の心が
満載です。
毎年8月16日の大祭の日に開かれる「えんまルシェ」のオリジナルエプロンです。
さすが足利市のド真ん中「井草町!」、センスの良さが輝いていますね。
スタッフが持っているのは、そうざい(こんにゃく煮物唐辛子)です。(製造者:株式会社ふ~でゅ~す/味工房ふ~でゅ~す)
こんにゃくは、閻魔様の好物という説にちなんで、えんまルシェのために特別製造されました。
* 足利石畳通り 味工房ふ~でゅ~すの詳細は、FM DAMONO:全員集合! 「リスナーのみなさん、出席とりま~す!」を御覧ください。
「閻魔様にふさわしく、辛口のお総菜で、お酒のお供に最高です」と、閻魔堂スタッフの田野さんが教えてくださいました。
いつも筆者がお世話になっているウチダメガネ会長婦人の内田さんです。
<利性院閻魔堂:8月大祭・えんまルシェ>
名 称 | ENMArche えんまルシェ |
---|---|
開催場所 | 利性院閻魔大王 足利市井草町2388 |
開催日 | 8月16日(毎年) |
開催時間 | 17:00~20:00) |
テーマ | 閻魔さまのおひざ元で、地元の旬を見つけよう! |
メッセージ | 井草町の閻魔さまで、地元の春色材が集まる マルシェ開催です!その名も「えんまルシェ」。 野菜からお肉、さらにはお花まで!地元生産者が、この季節の旬の生産物を 抱えて大集合します。また、その場で旬の食材を使ったお料理や アルコールドリンクなどもご提供。食材を買って、食べて、飲んで楽しめる マルシェです。 |
【利性院(閻魔堂):境内】
<六地蔵石幢>
六地蔵石幢は、上部が六角形になっており、六面にお地蔵様が彫り込まれている石造灯篭です。
一般的には、寺院の入り口に置かれる六地蔵と同じです。
「噓つきは舌を抜く」と説いて下さる閻魔大王は、地蔵菩薩の化身と言われ、信仰すれば地獄に落ちず、皆救われる御利益があると信じられています。
古老による伝承では、この地は元亀元年(1570)の頃、足利長尾氏の城下成敗所として、「罪人の償い」を行ったところと言われ、刑場の跡地に六地蔵を祀り、
さらに閻魔堂が建てられたと伝えられています。境内由緒書 より
六地蔵石幢周辺には、数多くの石造物が安置されています。
これらの石造物は、周囲の区画整理によって、閻魔堂西に移されたそうです。
<八坂神社>
六地蔵石幢のすぐ隣には、八坂神社が祀られています。
社内には、神輿が安置されています。
1月16日と8月16日に行われる大祭にも、ぜひ御参拝くださいね。
南無阿弥陀仏
最後までご覧いただき、ありがとうございました。
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