5月に植えたい野菜の定番の一つに、
ミニトマトがあります。
とても身近な野菜なのに、育て方となると
少し迷ってしまいますよね。
そこで、初心者の方でも簡単に育てられるように、
また、中級者の方にも
「いまさら聞けない育て方のコツ」を御紹介します。
本記事を御覧いただき、
おいしいミニトマトをたくさん収穫しましょうね。
子どもたちといっしょに、38年間、自然観察や
農園芸などの環境教育活動に携わってきました。
本稿では農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用し
基本的な「野菜の育て方」について解説いたします。
【クイズ】 次のうち、野菜でないものはどれでしょう?
● トマト
● リンゴ
● ミニトマト
● メロン
● スイカ
* 正解は、最後のページを御覧ください。
目 次
【ミニトマトの育て方:良い苗の選び方】

○ 良い苗の特徴
ミニトマトの苗に限らず、一般的な野菜や草花の苗の
選び方について列挙します。
① 茎が太くてがっちりしている。 |
---|
② 葉が厚くて大きい。 |
③ 葉と葉の間がつまって短い。 |
④ 葉がつやつやとして、いきいきと色も良い。 |
⑤ 虫食いのあと、病気の葉、枯れ葉がない。 |
⑥ 根張りがよい。 |
⑦ 双葉(子葉)が付いている。 |
* トマトは、1番花が付いているものを選ぶと、
定植の際、植える方向を見きわめるのに便利です。
(詳細は、定植の項で説明します)
● 良くない苗の特徴
まさに、上に挙げた例の反対と言えますが、
この他に特記すべき点を以下に示します。
➊ ポットの底穴から、根が長く伸びている。 |
---|
❷ 苗がポットの中で、ぐらついている。 |
❸ 接木の子葉、挿し穂の子葉(計4枚)がない。 |
市販苗の場合、できれば品種名が明示してあるものを
選びたいところですが、明示していないものが多いのも
事実です。
専門の種苗店であれば、品種名が明らかになる場合が多く、
表示がない場合は、お尋ねになるとよいでしょう。
また、双葉の色や有無については、苗の育ち具合によって
異なります。
【ミニトマトの育て方:定植場所の準備】

○ 土壌はあまり選びませんが、過湿に弱く
排水性のよい場所を好みます。
○ 1度栽培した場所は、6年は休ませましょう。
<元肥をまいて耕す>

○ 元肥
肥料名等 | 散布量(/1㎡) |
---|---|
苦土石灰 (定植2周間以上前) |
3握り(150g) |
堆肥 (以下、定植1周間前) |
3~4kg |
鶏フン | 70g |
化成肥料 (N:P:K=8:8:8) |
150g |
追肥 果実が肥大し始めたら |
1株に 化成肥料25g (土にすき込む) |
* トマトは、チッソ過多に注意しましょう。
(花が咲いても実が付かない、果実の
尻腐れ病の原因となる)
* 肥料等の基礎資料は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
2 【農園芸資料】を御覧ください。
<ウネ立て>

シルバーマルチを使用すると、アブラムシの害を
ある程度予防できます。
ウネ幅は70cmの1条植えにすると、
定植後の管理が容易です。
土が乾燥している場合は、灌水してから
マルチを敷くとよいでしょう。
【ミニトマトの育て方:苗の定植】
<マルチをカットする>

株間60cm間隔で、マルチの中央を
カッターで十文字に切り込みを入れます。
<球根植え器を差し込む>

マルチの切り込み部に、球根植え器を差し込みます。
差し込む深さは、定植する苗の株元がウネ面と
水平になるように加減しましょう。
球根植え器の上部直径が8cmほどなら、
ポリポット3号(上部直径9cm)に適合します。
<土を掘り抜く>

差し込んだ球根植え器を引き抜くと、
定植部の土をスッポリ抜き取ることができます。
<液肥とHB-101の希釈水を注ぐ>


植え穴に注ぐ水に、液体肥料とHB-101を
混合します。
希釈倍率は、液体肥料:約500倍、
HB-101:1000倍程度です。
(1ℓに1~2滴)
注ぐ水に、ちょっとした愛情を込めると、
苗の活着や定植後の成長を促進させることができます。
<苗を定植する>

ポットから苗を取り出す前に、植え穴に注いだ
希釈液を十分にあげておきましょう。
そうすることで、ポット内の土がまとまり、
ポットから苗を取り出しても根鉢は崩れません。
そして、根鉢を崩さないように植えます。
この時、株元の土とウネの表面の土が水平になるように
植えましょう。
また、トマトの花が夏の強光で痛まぬよう、
花房を北か東向きにして植え込みます。
そのため、1番花が付いている苗が好まれます。
(2番花以降も、1番花と同じ向きに出てきます)
定植したら、マルチの切り口を土でふさぎます。
(マルチの切り口から熱風が出て、苗を痛めます)
<苗を仮支柱に固定する>

<寒冷紗を掛ける>

苗を定植したウネに、白の寒冷紗を掛けました。
6月になるまで、気温の日較差が激しい時期です・
本来なら、ビニールトンネル内で
育てたいところですが、天候に応じて
ビニールの裾を開閉させる手間がかかります。
平日お勤めの方には、白の寒冷紗で対応することを
お勧めします。
また、定植した苗の四隅に支柱を立て、
上下の端を切った肥料袋などをかぶせておく
方法もあります。

まだ、つぼみの出ていなかった苗が、
1番目の花を咲かせました。
花房の向きが西向きになってしまいましたが、
我慢します。
<わき芽摘み>
1番目の花が付いた茎を伸します。
1本仕立ては、1番目に付いた茎から出る
わき芽をすべて摘みとって育てましょう。
2本仕立ては、1番目の花の下の芽も伸し、
主の茎(1番花の付いた茎)とともに育てます。

トマトは、摘みとったわき芽を土に挿し穂すると、
容易に発根して、新しい苗を増殖することができます。
しかし、「許諾に基づく自家増殖」は、
種苗法の改正(令和4年4月1日施行)により、
登録品種を自家増殖する際にも、育成者権者の
許諾が必要になりました。
登録品種の表示は義務化されていますので、
ラベルをよく見て判断しましょう。
当ブログにおいては、
アマチュアの家庭菜園家であっても、モラルをもって
栽培することは、たいへん重要なことと考えています。
すこし、かたいお話になってしまい恐縮ですが、
一般の品種については、これまでどおり許諾がなくても
自由に自家増殖を行うことができることをつけ加えます。
とにかく、これからもモラルとルールを守りながら、
「身近な自然」を楽しんでいきましょうね。

挿し穂したトマトが元気に育っていますす。
今日は日差しも強く、高温(36℃)でしたが、
あえて日向に出してみました。
写真のとおり、少し葉が垂れ下がったくらいで、
夕方になると葉もピンとなって、元気復活です。
そして、花もしっかり付けていますね。
以上のことから、挿し穂は完全に発根しています。
これから、だんだんと薄い液体肥料から与え始め、
充実した株に育てます。

挿し穂したミニトマトは、40cmほどに育ちました。
株周りには、置肥を施し、支柱を立て、
プランターに植えたゴーヤのグリーンカーテンと
結合しました。
【ミニトマトの育て方:土寄せと追肥】

マルチ栽培の場合は、マルチの裾をまくって行います。
マルチ栽培は、地温を上昇させ苗の生長を促進させたり、
防草したりという効果がある反面、追肥や土寄せの際に
一手間かかるというデメリットもあります。
追肥を行い、土寄せが終了した後、株周りに
堆肥を施しておくと、地表の硬化を防ぐことができます。
【ミニトマトの育て方:支柱の設置】

支柱立ては、野菜の枝や株を支えるためにあるのですが、
基本さえおさえておけば、どんなスタイルでもいいでしょう。
ただし、被服のない金属棒は夏季に高温となるため、
支柱には適しません。
家にある不要になった角材なども、
十分に利用できます。
毎年、オリジナル支柱を考えるのも、
作業の楽しみの一つとなりますね。
また、イボ竹(市販の支柱)などは
コストがかかりますね。
少しは見栄えが良くなくても、
ジュートひもなどを活用して、コスパを目指しましょう。
まずは、大まかな骨格を決めておき、
株の成長具合を見ながら、ヒモや支柱を付け足していく
方法もあるでしょう。
● 支柱は、根鉢の外側に立てる。
● 結束は苗の方からヒモをまわし、
八の字にして支柱側でしばる。
● 作業や収穫がしやすいように、形状を工夫する。
● 筋交いをつけて、支柱の揺れを防ぐ。
今回の支柱は、格子状に組み立て、ミニトマトの枝を固定します。
枝の張り方(仕立て方)に応じ、
細い支柱やヒモを使って、補正することにしましました。
【ミニトマトの育て方:整枝】

あっという間に大きく育つミニトマトですが、
わき芽もどんどん出てきます。
苗の成長のようすと株間を勘案して、
1本仕立てにするか、2本仕立てにするか決めましょう。
今回は、2本仕立てを選択しました。

【ミニトマトの育て方:開花・結実】

主枝の先端には、6段目の花が咲いています。
まだ気温が低いためか、結実した実は
赤くなっていません。
【ミニトマトの育て方:収穫】

6月下旬の急激な気温上昇にともない、
ミニトマトの実が色づきました。
<甘いトマトはなぜできる?>

黄色品種と赤品種の実を収穫しました。
甘いトマトを栽培するには、水加減を調整します。
一言で言ってしまえば簡単ですが、
実は水やりのポイントは複雑です。
甘いトマトにするには、水をひかえますが、
その分、皮が固くることも・・・。
露地植えの場合は、雨も降りますから
けっこう難しいですよね。
いろいろ試してみるのも楽しいですよ。
<結実したミニトマトの挿し穂>

発根したわき芽をポット’7号鉢)に定植し、
ゴーヤスクリーンの端に誘引しました。
7月の下旬頃から実が成利始めました。
庭に植えた黄色のミニトマトは、
収穫が始まったころ、根切り虫に根を食害されて、
枯れてしまいました。
挿し穂のお陰で、黄色のミニトマトも
収穫できています。
無農薬ではなく、低農薬栽培であれば、
野菜の苗を定植する際に、植え穴へ
オルトラン(粒状)などを施しておくと安心です。
話は戻りますが、ミニトマトの生命力は抜群で、
花の付いたわき芽を屋外のグラスに挿しておくだけで、
(挿し穂前の吸水の段階)やがて結実するほどです。
みなさんの菜園は、いかがでしょうか。
正解:リンゴ
* 野菜とは、「食用に供し得る草本性の植物で、
加工程度の低いまま副食として利用されるもの」
(農林水産省)
「一年草の草本作物」(植物学的定義)
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
Y/Kさん、コメントありがとうございます。 足利市内の八雲神社は、松田町と小俣町…
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m-tさん、コメントありがとうございます。 私もアンタレスの会員ですが、 ジムに…
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