シュンギクの種まきから収穫までの方法について、初心者の方でも簡単に育てられるポイントを御紹介します。
なお、記録画像や記事内容は、2021年に加え具体性をより高めるために、必要に応じて最新の画像や記事を追記して掲載しています。
最新の画像には、西暦.月.日を明記していますので、過去の画像と比較して御覧ください。
子どもたちといっしょに、38年間、自然観察や農園芸などの環境教育活動に携わってきました。
本稿では農家の知識と技術を家庭菜園向きに応用し基本的な「野菜の育て方」について解説いたします。
【クイズ】 シュンギクは、何科の野菜?
- キク科
アブラナ科
アカザ科
セリ科
* 正解は、【シュンギク:基本情報】を御覧ください。
目次
【シュンギク:基本情報】
春菊「きくまろ」は、生でもたべられるほど、おいしいシュンギクです。
パッケージにもありますように、「きくまろ」という名前もユニークですね。
[品種名] :生でも美味しい きくまろ 春菊
香りマイルドフレッシュサラダで
サカタのタネ 美咲シリーズ® 923272
[科・属名]:キク科 キク属 (クイズの答え)
[原産地] :地中海沿岸
[生産地] :デンマーク
特 徴
株張り型の中大葉シュンギクです。マイルドな香りと、柔らかい葉が特徴です。
火の通りが早いので、鍋では「さっとくぐらせる」だけでOK。
生でサラダにしてもおいしいです。
まき時:暖かい地域 | 1~4月 トンネル3~4月 8~12月 |
---|---|
:寒い地域 | 3~4月 8~9月 トンネル11月中旬~4月上旬 |
収穫の目安 | 9月まき:9月の平均気温22℃の地域で、35~45日 |
収穫部位 | 株張りタイプ |
数量 | 40ml |
発芽率 | 55%以上 |
採苗品数(間引き前) | 約2500本 |
発芽までの日数 | 4~7日 |
発芽適温(地温) | 20℃前後 |
生育適温 | 15~20℃前後 |
シュンギクは、収穫方法が2タイプあります。
- ① 根こそぎタイプ・・・抜き取り収穫
② つみとりタイプ・・・つみ取って何度も収穫
御紹介のシュンギク「きくまろ」は、① 根こそぎタイプです。根から株ごと引き抜いて、収穫します。(つみとり収穫は不向き)
なお、② つみとりタイプは、中葉種のシュンギクを選びましょう。
種まきは、庭に直まきします。
野菜の培養土、肥料等の詳細は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」を御覧ください。
【シュンギク:栽培場所の選定と準備】
<栽培場所の選定>
土壌に対する適応性は広いですが、乾燥に弱いので、地下水位の高い場所を好みます。
シュンギクは、2年ほどあけて作付けします。
野菜類では少ない「キク科」ですから、アブラナ科の野菜との輪作に適します。
<栽培場所の準備>
<土壌酸度の調整>
種まき4週間前に、石灰を散布し、耕します。(1㎡あたり:150g)
アルカリ性の強さや速効性は、
消石灰 → 苦土石灰 → 有機石灰(カキ殻など)
の順に、強 → 弱 速効性 → 緩効性 となります。
また、粒状と粉状があり、速効性には粉状、緩効性には粒状などと、使い分けましょう。
<施肥:1㎡あたり>
少量の種まき(作条うね):植え溝に(間土5~6cm下に)元妃:化成肥料100g、堆肥バケツ1杯
* 作条うね → くわ幅1列のまき溝
多量の種まき(ベッドうね):種まき1週間前、元肥を全面にまいて、すき込みます。
石灰の散布は、単に土壌酸度の調整のみならず、苦土石灰(マグネシウム、カルシウム)消石灰(カルシウム)など、NPK(チッソ、リン酸、カリ)に加え、野菜の5大栄養素として考えましょう。
肥料などの詳細は、
渡良瀬橋ブログ「資料集」自然いっぱいコーナー!
2 【農園芸資料】を御覧ください。
<ウネづくり>
うね作り
うね幅、100cmの「ベッドうね」をつくります。
メジャーなどで印をつけ、たこ糸を張ってクワなどで、さくを切ると便利です。
うねの中央部分が少し高くなるようにすると、うね内の水はけが良くなり、雨水がたまりにくくなります。
【シュンギク:種まき】
種をまく溝は、木板を使います。
木板を横に立て、うねの上を滑らせながら、種をまく溝をつくります。
1m幅のうねに、条間20cm、深さ約1cmの溝をを作ります。
作業に慣れていない方は、メジャーとたこ糸を使うと便利です。
まき溝に、種が1cm間隔になるようにスジまきします。
種にかける土は、種がわずかに隠れる程度にします。
厚くかけ過ぎると、発芽不良になります。
種まき後、板で軽く押さえる(8月24日)
種をまいた後、種が隠れるくらい土をかけた後、まき溝の上を板で軽く押さえます。
転圧(てんあつ)効果・・・種の発芽を揃えることができます。
・まき溝の底面が平らで、かけられた土が平らになり、発芽がそろいます。
・さらに、転圧することで、うね表面の乾燥を防ぎます。
【シュンギク:種まき後の管理】
種まきを終えたウネに、白の寒冷紗をかけます。
寒冷紗によって、猛暑による高温を回避できます。
また、発芽した「貝割れ」を鳥や虫に食害されることも防ぐことができます。
<寒冷紗を用いずに、鳥の食害を防ぐ方法>
○ 種をまいた「うね」上、高さ20~30cmの位置に水糸を張ります。
○ 不要になった、CD(コンパクトディスク)を吊します。
部分的に発芽してきました。
他の野菜のためのスプリンクラーの水が、まばらにかかってしまったようです。
(種を直まきした場合は、水をやりません。
もし、水やりをしたら、雨が降るまで毎日水をあげ続けましょう)
この段階は、やはり、横着しないで、手作業に限りますね。
下に落ちたサクランボの葉が散乱していますが、今年(2022)は、発芽がそろいました。
と言いたいところですが、4本のスジまきの溝の内、1本が、全く発芽していませんでした。
種のまき忘れでした。(残念!)
<日照不足が心配>
種まきの際、不均等に土がかかっているよです。
写真手前の列は、発芽していません。
土をかけすぎたのかもしれませんね。
そして、日照不足と相まって、成長が良くありません。
<まばらな発芽>
発芽がまばらな場合は、ある程度成長した段階で、適切な間隔をとって植え替えます。
写真では、向かて左側1列目は、モロヘイヤの日陰に、2列目は、まばらな発芽、3列目は種の蒔き忘れ、そして、4列目は正常に生育しています。
<中耕と追肥>
雨が降ったり、晴れたりを繰り返しているうちに、ウネの表面はヒビ割れ、かたくなってきます。
そこで、株と株の間(条間)の土に指を差し入れ、ラッセル車(雪かき)のように指先を移動させます。
すると、指によって、かき分けられた土が、株元に集まり、寄せ土になります。
中耕してできた溝によって、排水を促します。
さらに、野菜の根に、空気、水、肥料を適度に運べるようになります。
(2022.10.5)
2回目の中耕作業は、スコップを使い、条間の土をほぐします。
条間の土をほぐす前に、少量の化成肥料をまいておくと、寄せ土による肥効性をいっそう高まります。
土寄せは、苗を両側から挟む感覚で行いましょう。
中耕・追肥・土寄せ作業を終えたシュンギクです。
種まきの祭に、4条まき(4列の筋まき)でしたが、写真左から3列目の種を、4列目に重ねてまいてしまいました。
「ボーと生きてんじゃねーよ!」という、農家だった父の声が聞こえてきそうです。
ついでに、「真っ直ぐ柵が切れねーのは、根性が曲ってるからだ!」とも・・・。
雨あがりのシュンギクは、元気です。
肥料が効いてきたようすです。
しかし、成長がまばらですね。
【シュンギク:収穫】
もう、必要に応じて収穫しています。
先日は、ごま和えにして、いただきました。
収穫して食べてます。
やわらかくて美味しいですよ。
どんどん収穫しています。
栽培初期は、発芽がまばらで、植え替えも検討していましたが、
その必要は、なかったようです。
今年は、霜が降りる前に、ビニールトンネルをかけて、保温してみます。
今後の作業は、ビニールトンネルをかけて、霜よけ対策をします。
【シュンギク:霜よけ】
生でも美味しく食べられ、大好評のシュンギクです。
摘みとって収穫しています。
太くてやわらかい枝が次々に出てきます。
しかし、霜が降りると、とたんに弱ってしまいやがて枯れてしまいますので、その前に
ビニールトンネルに入れてあげましょう。
ビニールトンネルの中で元気に育っています。
生でも美味しい きくまろ 春菊 香りマイルドフレッシュサラダで
サカタのタネ美咲シリーズ® 923272
サラダや鍋に入れて美味しくいただいています。
2023年の秋にまいて育てたシュンギクは、トーホク育成(品種番号:04941)『サラダ用春菊』で、やわらかく、さわやかな風味が味わえます。
そして、栽培して特に分かることは、草丈が低く、病気や虫にも強いため無農薬栽培や、
プランター栽培に適した品種です。
最後まで御覧いただき、ありがとうございました。
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